自慢の息子

公開日: 子供 | 家族 | 心温まる話

親子の手(フリー写真)

これを書いている私は今、38歳の会社員です。

私は30歳の時にうつ病を患いました。

父が自殺、その後、高校の同級生である友人が自殺。

仕事は忙しく、三ヶ月休みが無い中で、長男が産まれました。

そこから三年間、病と戦っていた時の話です。

長男が二歳の時。

東日本大震災の影響で、次男が切迫流産をしかけて妻は入院。

長男と実家の親との暮らし。

計画停電で、不安定な毎日。

病で自分の気持ちすら、思うままにならなかった私。

長男が泣き止まなかった時、気付けば怒鳴っていました。

二歳の子に、大の大人が本気で、です。

自己嫌悪の嵐でした。

その日の寝る時、2歳の長男が、

「パパ、だいじょうぶ?」

と言ったんです。

怒鳴りつけた私にです。

涙が止まりませんでした。

その後、次男は先天性心疾患で生まれましたが、今は後遺症はあるものの元気です。

長男は生意気になりましたが、誰よりも優しい自慢の息子です。

他の体験談ほどの感動は無いかもしれませんが、私が最も泣いた話です。

関連記事

月明かり(フリー写真)

お月さんの下で

昨日、彼女の家の犬が死んだ。 彼女の家は昔、彼女の兄貴が高校生という若さで自殺してから、両親も彼女もうつ病になって酷い状態だったらしい。 そんな時に引き取って来た犬だったそ…

ビル

予期せぬ守り神

内定式で初めて彼女と出会った。彼女は私たちの同期だった。 彼女は聡明の代名詞のような人だった。学生時代の論文で賞を受けるほどの才女で、周囲からは期待の新星と見なされていた。 …

窓辺(フリー写真)

失われた家族

妻と娘が一ヶ月前に交通事故で命を落としました。 独りで運転していた車が大破したそうです。 その知らせを受けたとき、私は出張先の根室にいました。 帰るのは一苦労でした…

犬(フリー写真)

盲導犬のサリー

私がかつて知っていた盲導犬のサリーの話です。 サリーはとても頭の良い犬でした。 盲導犬としての訓練を優秀な内容で終え、飼い主さんの元へ預けられました。 サリーは晴れ…

海を眺める男の子(フリー写真)

ぽっけ

「このぽっけ、すごいねんで!!(`・ω・´)三3ムフー!!」 そう言って幼稚園の制服のポケットをパンパン叩いていた友達Aの息子。 ポケットにはハンカチ、ティッシュ、お菓子、…

お茶碗(フリー写真)

テーブルのお皿

私と淳子は、結婚して社宅で暮らし始めました。 台所には四人がやっと座れる小さなテーブルを置き、そこにピカピカの二枚のお皿が並びます。 新しい生活が始まることを感じました。 …

お弁当(フリー写真)

母ちゃんの弁当

中学1年生くらいの時は反抗期で、ちょっとツッパっていたりした。 「親の作った弁当なんかダサくて食えるか。金よこせよ、コンビニで買うから!」 と母ちゃんに言ったことがあってさ…

夏のスイカ(フリー写真)

夏の記憶、婆ちゃんとツトム

昨年の夏、私は高知を訪れた。 熱波が街を包み、頭がクラクラするほどだった。 R439を目指して進む中、中村市の近くに来た。 そこには、一人の婆ちゃんがビーチパラソル…

教室

笑顔のつながり

私の中学時代は、新興住宅地に位置しており、ほとんどの生徒が持ち家に住む裕福な家庭出身でした。お母さんが専業主婦である家庭が多く、いじめや仲間はずれが皆無という幸せな環境でした。 …

月(フリー写真)

月に願いを

俺は今までに三度神頼みをしたことがあった。 一度目は俺が七歳で両親が離婚し、父方の祖父母に預けられていた時。 祖父母はとても厳しく、おまけに 「お前なんて生まれて来な…