ファミレスの父娘

飲食店の席(フリー写真)

ファミレスで一人ご飯を食べていたら、前のテーブルからおっさんと女子高生の会話が聞こえて来た。

おっさんはスーツ姿で普通の中年。痩せていて、東幹久さんに似た雰囲気。会話の流れから父親だと思われる。

女子高生は制服で、目がぱっちりした黒髪で可愛い感じ。

父「何でも頼め(笑)。○○は昔から□□(聞き取れなかった)好きだもんな(笑)」

女「んー(笑)」

父「お母さん元気か?(笑)」

女「元気だから(笑)」

父「ご飯ちゃんと食べてるか?(笑)」

女「食べてるから(笑)」

というような会話を延々と話していたから、多分訳ありな親子だと思った。

とにかくおっさんが変にハイテンションだった。

でも、その途中で

父「新しいお父さんは優しいか?(笑)」

女「うん(笑)。いい人」

父「そか」

女「でも私は絶対、お父さんが好きだから」

父「えっ?」

あまり話を聞いていないけどこんな感じで、それからおっさんが泣いていた。

それまでのハイテンションと打って変わり、本当に号泣で少し浮いていたけど、それを女子高生が慰めているのが印象的だった。

あと店員さんがお手拭きを持って来ていた。

実際、自分の代わりのような人間が出て来たら、忘れられたらどうしようと不安になるのだろうな…と思った。

関連記事

巣鴨の歩行者天国(フリー写真)

とげぬき地蔵様

私は小さい頃から中耳炎で、しょっちゅう耳が痛くなっては、治療のために耳鼻科へ行っていました。 小学校に入ると、私が耳鼻科に行くために学校を休んだり早退したりすると、クラスの子に …

結婚指輪(フリー写真)

会社対抗クイズ

近所に住んでいるご夫婦の話です。 その夫婦には子供が居らず、そのせいか私は子供の頃から可愛がってもらっていました。 おじさんは無口な土建屋の事務員。おばさんは自宅で商売をし…

味噌焼きおにぎり(フリー写真)

祖母の味噌焼きおにぎり

僕には祖母がいる。 祖父は僕が生まれる前に亡くなった。 だから、祖母は大変だったらしい。 祖父は保険に入っておらず、残されたのは煙草畑と田んぼと仔牛くらいだった。 …

父と子(フリー写真)

俺には母親がいない。 俺を産んですぐ事故で死んでしまったらしい。 産まれた時から耳が聞こえなかった俺は、物心ついた時にはもう既に簡単な手話を使っていた。 耳が聞こえな…

猫

声を失った猫

昔話だけど。 実家の猫は赤ちゃんの時、空き地で目も潰れて放置され、泣き喚いていたところを保護したんだ。正直、化け猫のようで触るのも躊躇するほどの悲惨さだった。目は病院で治療して…

高校野球のボール

甲子園に連れていく約束

十年前、彼女が亡くなった。 当時、俺たちは高校三年生。同じ高校に通い、同じ野球部に所属していた。 俺たちは近所に住む幼馴染だった。俺は、野球好きの両親に育てられたこともあ…

差し伸べる手(フリー写真)

俺を育ててくれた兄貴

俺を育ててくれた兄貴が正月に結婚したんだ。 兄貴と言っても、血は繋がっていないけれど。 ※ 自分が5歳の時に親父が死んでから、母親が女手一つで育ててくれた。 親父と結婚…

日記帳

嫁の日記

先日、ふと嫁の日記を盗み読みしてしまった。 何気なく手に取ったその日記に書かれていたのは、嫁が普段、昼ごはんに納豆ご飯やお茶漬けしか食べていないという事実だった。 さらに…

日記帳(フリー写真)

親孝行したい時に

高校を卒業してから4年間、何もせずに家でお金を使うことしかしていなかった。 オンラインゲームをしたりゲームを買ったり。偶に親に怒鳴り散らしたりもした。 そんな駄目な俺が2…

ろうそくの火(フリー写真)

ろうそくの火と墓守

急な坂をふうふう息を吐きながら登り、家族のお墓に着く。 風が強いんだ、今日は。 春の日差しに汗ばみながら枯れた花を除去して、生えた雑草を取り、墓石を綺麗に拭く。 狭い…