お兄ちゃんの思いやり

入学式とランドセル(フリー写真)

小学1年生の息子と、幼稚園の年中の息子、二児の母です。

下の子には障害があり、今年は就学問題を控えています。

今年に入ってすぐ、上の子が

「来年は弟くんも1年生だね~。一緒に学校行くんだ!」

とニコニコ顔で言って来ました。

下の子は言葉も殆ど話せず、身辺自立もままならない為、上の子が通う小学校の特学に上がるのは非常に難しい状態です。

上の子の楽しみを摘み取るようで心が痛みましたが、遅かれ早かれ言わなければならない事だと思い、上記の現実を突き付けてしまいました。

みるみる泣き顔になる上の子。

登校時には危なくないように手を繋ぐから、休み時間の度に様子を見に行くから、下の子が虐められないように守るから…。

そう泣きながら一緒の学校にしてくれと頼む上の子に、私も泣きながら

「ごめんね」

と謝る事しか出来ませんでした。

とうとう上の子は、

「弟くんと一緒に行くんだもん!」

と言い残し、部屋に篭ってしまいました。

まだ小学1年生の息子に下の子を気遣う発言をさせた上、深く傷付けてしまった事に、酷く自己嫌悪しました。

それから数十分後…。

上の子が部屋から出て来ると、真剣な顔で私の前に座って言いました。

「…本当は弟くんと一緒の学校がいいけど、もし絶対に無理だったら我慢するよ。その代わり、弟くんが楽しく通えて、虐めの無い学校を探してね。約束してね」

こんな小さな子供が一生懸命考えて出した答えなんだ…と思うとまた泣けてきて、二人で泣きながら指切りをしました。

夫の帰宅後、この話をしたら夫も号泣。

今まで就学問題については、

「よく分からないから、任せるよ」

と頼りない事を言っていた夫ですが、この日を境に一緒に考えてくれるようになりました。

お兄ちゃん、ありがとう。

お母さんは、二人が生きやすく、幸せになれるよう頑張ります。

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