生きて欲しかった

公開日: 兄弟姉妹 | 悲しい話

手紙(フリー写真)

私は高校2年生です。

去年、3つ下の妹が自殺しました。

妹はいつも笑顔で『悩みなんてない!』みたいな子でした。

妹は成績は散々だったけど、コミュニケーションが苦手な私は、妹がとても羨ましかったです。

何が原因だったのか? 考えても分からない。

ただ行き場のない気持ちと、伝えたい思いが、今更のように押し寄せてきます。

私の自己満で終わっちゃうけど、許して。

紬へ

お姉ちゃん、生きてて欲しかった。

紬は、普段笑顔の分、沢山傷付いとんの、お姉ちゃん知っとった。

それなのに、何も出来んかったお姉ちゃんは、弱いね。

ただ、今になって言えること見つけた。

言うのはすっごい癪やけど、お姉ちゃん、あんたがめちゃ羨ましかった。

3つも年下なんに、お姉ちゃんよりしっかりしとる。

けどさ、お姉ちゃん、羨ましかっただけで、あんたのこと嫌いやない。

大好きやもん。

大好きやけん、生きて欲しかった。

世の中は、理不尽で、みんな自分のことしか考えてないけどさ。

辛くても、ただ生きとって欲しかった。

お姉ちゃん、あんたに「笑え!」って言ったのがいかんかったん?

笑いよっても、しんどかったらいかんやん。

あんたは馬鹿なん?

何で抱え込むん?

お姉ちゃん、そんなに頼りなかった?

紬、誰かに嫌われるの、確かに怖いね。お姉ちゃんも怖い。

けど、皆に愛される必要はないんよ?

みんなのヒーローになる必要もない。

あんたは、お姉ちゃんのヒーローやったのに。

笑わんでも大丈夫よ。

苦しくても、悲しくても、泣いても、

生きて欲しかった。

今になってこんな事、言ってもしゃーないけどさ。

お姉ちゃん、紬が命やったんに。

何で今、横に紬は居らんの?

お願い、神さん。紬の顔、もっぺん見せて。

泣いとってもいい。

思いっ切り抱き締めちゃるけん。

紬、お姉ちゃんの顔から涙が消えるにはどうしたらいい?

関連記事

教室

ごめんね、お母さん

高校時代の俺は、授業が終わればいつも一人で小説を読んでいた。 別に特別な理由があったわけじゃない。ただ、他にやることがなかっただけだ。 教室の喧騒の中で、物語の世界に逃げ…

カラオケのマイク(フリー写真)

お金以上のもの

パパ、ママ、小学生の三姉妹の仲良し五人家族。 ある日、ママが交通事故で亡くなってしまいました。 慣れない家事にお父さんも奮闘。 タマゴ焼きを焦がしたり、洗濯物を皺だら…

カップル

届かなかった「ごめんね」

あの日、私たちは些細なことで言い争っていた。 本当はすぐにでも仲直りできると、心のどこかでは思っていた。 でも、彼女は険しい表情のまま、何も言わずに仕事へと向かっていった…

パラオのサンセットビーチ(フリー写真)

パラオの友情

南洋のパラオ共和国には、小さな島が幾つもある。 そんな島にも、戦争中はご多分に漏れず日本軍が進駐していた。 その島に進駐していた海軍の陸戦隊は、学徒出身の隊長の元、住民たち…

阪神・淡路大震災(フリー写真)

色褪せたミニ四駆

小学4年生の時の1月15日、連休最初の日だったかな。 いつものメンバー5人で、俺の住んでいたマンションで遊んでいた。 当時はミニ四駆を廊下で走らせ、騒いでは管理人さんによく…

父(フリー写真)

父と私と、ときどきおじさん

私が幼稚園、年少から年長頃の話である。 私には母と父が居り、3人暮らしであった。 今でも記憶にある、3人でのお風呂が幸せな家族の思い出であった。 父との思い出に、近…

バー

最後のショットバー

20歳の誕生日、姉は私を雰囲気の良いショットバーに連れて行ってくれた。初めてのバー体験に圧倒されている私を見て、姉は「緊張してんの? 何か子供の頃のアンタみたい」と笑いながら、彼女が…

親子の後ろ姿(フリー写真)

育ての親

私には、お母さんが二人居た。 一人は、私に生きるチャンスを与えてくれた。 もう一人は……。 ※ 私の17歳の誕生日に、母が継母であることを聞かされた。 私を生んで…

雨

雨の中の青年

20年前、私が団地に住んでいた頃のことです。 ある晩、会社から帰宅すると、団地前の公園で一人の男の子が、雨の中傘もささず、向かいの団地をじっと見つめていました。 その様子…

ドクター(フリー写真)

思いやりのある若者

本当は書くべきじゃないのかも知れないが、久々に堪らない思いになった。 一応、医者の端くれとして働いている。 こういう生業だから、人の死に接する機会は少なくない。 少し…