タグ: 港町

船頭がくれた欠けた飯茶碗

十七の冬、厳しい父と衝突し家を捨てた俺は、雪の北の港町で行き場を失った。飯にありつけず座り込む俺に声をかけたのは、腰に藍色の手ぬぐいをさげた老いた船頭だった。名…

割烹着に残る花の匂い

港町の惣菜屋で働く母の割烹着が恥ずかしかった。東京で花屋を開いた息子が十年ぶりに帰郷して見つけたのは、母が裏庭でひっそり育てていた息子と同じ花だった——心が震え…

青磁の湯呑み

十七年間言えなかった「ありがとう」。不器用な写真家が港町で偶然見つけた恩師の個展。対になった青磁の湯呑みが二人の時間をつなぐ感動の物語。…

宝物ボックス

海に磨かれた青い硝子のお守りを、幼馴染の千夏はいたずらのように持ち去りました。彼女の死後に開いた宝物箱と、投函されなかった手紙の束が、言えなかった互いの想いを静…

おにぎりをくれた女の子

泣ける話。瀬戸内の港町の古い文化住宅で出会った、隣の部屋の小さな女の子。お腹を空かせた私に握ってくれた、塩気のないおにぎりの本当の意味を、私はずっとあとになって…

一巻き目を教えなかった人

三重・尾鷲の港町にある椅子六脚の定食屋つばめ食堂。七十八歳のおかみさんは、だし巻きを焼くとき一巻き目だけ菜箸を右から左へ持ち替えます。半世紀のあいだ誰にも教えな…