タグ: 家族

縫い込まれた許し

薬剤師の俺が白衣のポケットで七年間持ち歩いたお守りの縫い目が、ある春の日に開いた。中から出てきたのは祖父の震える字で書かれたメモだった——港の男の、照れ隠しと許…

祖父の弁当箱

無口で不器用な祖父が遺したアルミの弁当箱。その底に折り畳まれた一枚の紙が、六年越しの言葉を語りかけてきた——港町を舞台にした、涙があふれる感動の物語。…

パパしっかり

妻を亡くした父が、お通夜の夜にひとり綴った一通の手紙です。残された高校生の娘が、亡き妻とそっくりの声で口にした六文字とは何だったのか。家族の合言葉が静かに受け継…

叔父さんの血

盆地の桃農園で暮らす、血の繋がらない兄と私。無口な兄が黙って払ってくれた入学金、姪のために限界まで差し出した輸血。そして姪の結婚式で読まれた一通の手紙が、継いだ…

もう一度、お母さんと

十七歳の誕生日に、育ての母だと知らされた私は、母を「おばさん」と呼び、差し出された手紙さえ、その場で丸めて捨ててしまいました。その翌日、母は突然この世を去ります…

母のエプロン

社会人になって初めての給料で母に何か贈りたかったのに、素直になれず「こんな安物かよ」と口走ってしまった三千円のエプロン。三年後に見つけた家計簿の余白が、その値札…