親猫
家の裏に同じ猫が、よく通っていた。
痩せていたので、残飯を少し置いてあげた。
私自身、あまり動物が好きではない。
以前は子供のためにウサギを家で飼ったが、そのせいで主人のアレルギーがひどくなったこともあり、家でペットは飼えないと思っていた。
それにウサギが亡くなった後は辛かったから、もう二度とペットは飼わないつもりでした。
だけど、一度餌をあげるとまたやって来て、その都度何かしらあげていた。
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ある日、お腹が大きくなっているのに気が付いた。メス猫なんだ。
一週間しているうちに、お腹が元の大きさに戻っていた。と思っているうちに、隣の柵の方から赤ちゃん猫が泣く声がして。
親猫は、裏に来てこちらがあげる物を食べたら、すぐ赤ちゃんの所へ戻って行っていました。
それから暫くして、裏に赤ちゃんを連れてやって来ました。
いつも来る親猫は、黒と白色が混ざった猫できりっとした顔でしたが、赤ちゃんは黒色が主で白も所々あり、かわいい顔の猫でした。網戸越しに、赤ちゃんを見ました。
親猫(私たちは『クロ』と呼ぶようになりました)はまたすぐ子猫を連れて、隣に帰りました。
※
その翌日クロが来て、今までと違う悲しい鳴き声で泣き続けました。
何かあったのだっと思い隣の柵を除いたところ、子猫が横たわっていました。動かないのを見て、亡くなったのだと気付きました。
ようやく、クロの鳴く意味が解りました。私は、餌をあげるしか、励ますことができなかった。
次の日にはもう普通のクロに戻っていました。
※
それから一ヶ月ぐらい経った頃、7月の初旬。
クロのお腹がまた、大きくなっていた。あれー、また子供ができたみたい。
私が、家族に言ったのだけど、あまり信じてもらえなかった。
7月12日、この日クロは我が家に入りたがった。もしかして、うちで産む気なのかと思ったが、やはり家には入れなかった。
以前と違う所で産んだのだが、今回は場所が判らない。
暫くして赤ちゃんの泣き声がしたから、やはり近くで産んでいるのだろう。
※
何日か後の夜中に凄い雨が降りました。大丈夫だったかなあと思っていました。
次の日の昼間、クロがやって来て、またあの時みたいな泣き方をし始めました。
「クロ、もしかして、赤ちゃんいなくなったん?」
クロは、泣き続けました。
私は続けて、
「クロ、泣いてる場合じゃないよ。探しに行き」
通じないかもしれないけど、ついそう言っていました。
すると、クロは餌も食べず歩き出したのです。
その夕方、赤ちゃんの猫の鳴き声が聞こえたので、やれやれ見つかったんだとほっとしました。
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今回はすくすくと育つようにと思っていたら、またもや子猫を連れて来た。
今度は二匹。茶色の縞模様の子とグレーの子。縞模様は、キリっとした顔立ち。
グレーは、かわいい顔の猫でした。
二匹は、裏でじゃれて遊んでいました。いつの間にかクロの姿がありませんでした。
ええっ、もしかして…。クロは、赤ちゃんを置いて行きました。
すぐスーパーに子猫専用のフードを買いに行きました。裏に置いてある棚に、寝床を作り。
子猫は、すぐ慣れました。
※
一ヶ月が経った頃、ふらっとクロが現れました。私たち家族は、思わず「クロ」と呼んでいました。
私はすぐクロの餌を用意して、置きました。しかしクロは見向きもせず、子供たちを見ました。
子供たちはすっかり忘れたみたいで、二匹で寄り添って怖がっていました。
クロはそのまま玄関の方へ行きました。ちょうど主人が車から降りて来ました。
主人も久々のクロを見て「クロ」と言うと、クロは主人の所へ行きました。
かわいがっていた主人はクロを撫でてやっていると、クロはすっと歩き出し、家の門を出て何歩か歩き、振り返って頭を下げたのです。
私も主人も一緒に見ていたので、私は思わず
「今、頭下げたよね」
と言いました。
クロの姿は、消えました。その後、クロは一度も現れませんでした。
今でもクロのことは、時々会話に出てきます。
子猫のことは、また続きを書きますね。
投稿者: 匿名希望