恩師の愛情
私は高校2年生の時にうつ病になった。
切っ掛けは、2年半付き合った彼氏に振られたことと、友達から仲間はずれにされるようになったことだと思う。
毎日、泣いていた。
プライドが許さず、先生にも両親にも泣いている理由を話せなかった。
そんな私に母親は「先生にも友達にも恵まれてるのに、何でそんな泣くのよ」と言った。
また涙が出た。
その友達がいないんだよと。
だんだん学校へ行くのが辛くなって、行きの電車、帰りの電車は毎日泣いていた。
電車で一緒だった人は『何だこいつ』と思っていただろうな(笑)。
毎日、目を腫らして学校へ行くものだから、ある先生が心配してくれた。
でも、言えなかった。
もともと自分の話をするのは得意じゃなかったし、人を信用することもできなかった。
でも先生は諦めずに私に寄り添ってくれたんだ。
※
ある日の放課後、教室で二人で話をした。
と言っても、先生が一方的に話しているだけだったけど。
ゆったりとした空間で、私はまた泣いた。
話を聞いたからでもなく、何の理由もなく泣いた。
先生は落ち着いた様子で「どうした?」と言った。
知っている癖になあ、なんて思ったりもした。
やっと話そうと決意した時でも、私はまだ話せなかった。
言葉が胸につかえて出て来なかった。
※
その状態が続いて5分くらいかな。
時間をかけてやっと話した言葉は「もう息をするのが辛い」だった。
先生は責める様子もなく、静かに泣き始めた。
ぽろぽろと。
そして、
「ごめんね、なにか言葉をかけるべきだよね。
でも、こんなに涙が出て来るのは、私にとってあなたが大切な存在だからなんだね」
と言ってくれた。
先生にとっては数多くいる生徒の一人だし、ましてや赤の他人だし。
でも、その涙が私よりも私を大切にしてくれている証のようで、今度は嬉し泣きをした。
最終的には二人で涙と鼻水でぐちゃぐちゃになって泣き腫らした。
それから心のつかえが凄く取れて、心が楽になった。
泣くことも眠れないことも少なくなった。
私に必要だったのは同情でも心配でもなく、大切にされているという実感だったんだ。
生きていても良いのだと。
※
先生、あの時、私のために泣いてくれてありがとう。
私、先生みたいになりたくて、今教師になって頑張ってるよ。
生徒はすんごい生意気だけど(笑)。
いつか私も先生のように、人のために笑ったり怒ったり泣いたり、愛情深い人になれるよう頑張ります。