丸坊主の誓い

公開日: 友情 | 心温まる話

教室

中学生の弟がある日、学校帰りに床屋で丸坊主にして帰ってきました。

失恋したのかと尋ねると、小学校からの女の子の友達が久しぶりに学校に戻ってくるからだと教えてくれました。その女の子は病気で長期間入院しており、治療の副作用で髪の毛を全て失っていたそうです。

弟は言いました。「彼女が丸坊主で恥ずかしいって言ってたから、自分も丸坊主になれば彼女が少しは楽になるかなと思ったんだ。野球部の子はもともと丸坊主だけど、野球部じゃない子も丸坊主がいる方がいいかなって。」

翌日、丸坊主で登校した弟は帰宅して驚いたことを報告しました。「同じことを考えた奴がたくさんいたんだ……」と彼は言いました。

なんと、彼のクラスの優等生から問題を起こす子まで、男子生徒全員が丸坊主かそれに近い髪型になっていました。さらに、病気の女の子と仲の良い女子たちもベリーショートにしており、その中の一人は完全に丸坊主になっていたそうです。驚くべきことに、男性の担任教師までもが丸坊主になっていたのです。

教室が丸坊主だらけになる中、病気の女の子は「ありがとう、ありがとう」と言いながら笑いながら泣いたそうです。その日、弟のクラスはまるで示し合わせたかのように一致団結し、その絆が彼らを強く結びつけました。

現在もその女の子は元気にしており、弟は丸坊主が意外と自分に合っていると気に入っているため、そのスタイルを続けています。この心温まる話は、思いやりと勇気がいかにして人々を近づけるかを教えてくれます。

関連記事

家族

父の告白

ある日、僕が父に「結婚したい子ができた」と告げると、数日後、家族会議が開かれた。 その時の父は、これまでにない真剣な表情で、衝撃の事実を告げた。 「実は、俺とお前は血の繋…

診療所(フリー写真)

今は亡き僕の先生

僕は幼い頃から病弱で、いつも何かしらの病気にか罹っていた。 例えば、喘息、熱、インフルエンザなど。 そのような時はいつも診療所の先生に診ていただいていた。 その先生…

父と娘(フリー写真)

娘からの愛情弁当

俺は高校まで都立でずっと給食だったし、大学のお昼も学食やコンビニで済ませていた。 母親の手作り弁当の記憶など、運動会か遠足くらいだ。記憶が遠過ぎて覚えていない。 就職して…

カフェ

遠くて近い二人

私はファミリーレストランでのひとときを静かに過ごしていました。 目の前のテーブルには、スーツ姿の中年の男性と、鮮やかな制服の女子高生が座っていました。 男性は痩せており、…

結婚式(フリー写真)

二人目の子供

俺が結婚したのは20歳の頃だった。当時、妻は21歳。学生結婚だった。 二年ほど貧乏しながら幸せに暮らしていたのだが、ある時、妊娠が発覚。 俺は飛び上がるくらい嬉しく、一人で…

メリーゴーランド

触れる魔法

私たちの前を、目の見えない夫婦が手を取り合って歩いていました。 彼らはそれぞれ白杖を携えており、ディズニーランドのキャストが優しく案内しながら、彼らと並んで歩いていました。 …

浜辺の母娘(フリー写真)

天国へ持って行きたい記憶

『ワンダフルライフ』という映画を知っていますか? 自分が死んだ時にたった一つ、天国に持って行ける記憶を選ぶ、という内容の映画です。 高校生の頃にこの映画を観て、何の気無しに…

教室

厳しさの中の優しさ

十五年以上前の話です。当時、小学6年生だった私のクラスに、A君という友達がいました。彼は父親がおらず、生活も苦しそうで、いつも古びた服を着て、新しい上履きも買えずにいました。給食費や…

自衛隊員(フリー写真)

自衛隊の誇り

広島の平和集会にゲストとして呼ばれた自衛隊員に浴びせられた言葉。 市民「自衛隊は無くすべきだと思いますが、自衛隊員の○○さんはどう思いますか?」 市民「自衛隊があるから軍…

結婚式場(フリー写真)

叔父さんの血

俺には腹違いの兄貴が居る。 俺が小学5年生、兄貴が大学生の時に、両親が子連れ同士の再婚。 一周りも年が離れていたせいか、何だか打ち解けられないままだった。 ※ 大学入試…