公園での約束

公園

芸人の江頭さんが公園でロケをしている時、隣の病院から来た車椅子の女の子がその様子を眺めていました。ロケが終わると、女の子は「つまらねーの」と小声で呟きました。

江頭さんが聞き返すと、「だって全然面白くないんだもん」と女の子は再び言いました。それを聞いた江頭さんは、「なら、お前が笑うまで毎日ここでネタを見せてやろうか」と宣言しました。

江頭さんは約束どおり、毎日仕事の合間を縫っては公園に現れ、女の子にネタを披露し続けましたが、女の子を笑わせることはできませんでした。

約一ヶ月後、毎日のように公園に来ていた女の子が突然姿を消しました。心配になった江頭さんは、一週間ぶりに公園に現れた女の子にいつものようにネタを見せたところ、女の子は初めて少し笑いました。

日が暮れると、江頭さんは「また、明日も来るから、ちゃんと待ってろよ」と言いましたが、女の子は「勝手に来れば!!」と応じました。

翌日、女の子は公園に来ませんでした。心配した江頭さんは病院へ行き、女の子が容体が悪化し昏睡状態で別の病院に移されたことを知りました。看護婦から渡された日記には「大好きな芸人、江頭」と記されていました。

十年が経った今でも、江頭さんは月に一度その公園を訪れ、女の子のために花を手向けながら一人でネタを披露しています。

関連記事

キャンドル

灯り続ける希望の光

24歳の時、僕は会社を退職し、独立を決意しました。上司の姿から自分の未来を映し出し、恐れを感じたからです。しかし現実は甘くなく、厳しい毎日が始まりました。25歳で月収7万円、食事は白…

ビル

予期せぬ守り神

内定式で初めて彼女と出会った。彼女は私たちの同期だった。 彼女は聡明の代名詞のような人だった。学生時代の論文で賞を受けるほどの才女で、周囲からは期待の新星と見なされていた。 …

雪(フリー写真)

季節外れの雪

「ゆきをとってきて…おねがい、ゆきがみたい…」 あなたはそう言って、雪をほしがりましたね。 季節外れの雪を。 ※ あれから何年も時が経ちました。 あなたは、ゆっく…

スーパー

小さな勇気、大きな友情

私はセイコーマートで働いて三年目になります。 店にはよく来る小さな常連客がいます。その子は生まれつき目が見えず、白い杖をついて母親と共に週に二、三度店を訪れます。 ある日…

コザクラインコ(フリー写真)

ぴーちゃんとの思い出

10年前に飼い始めた、コザクラインコのぴーちゃん。 ぴーちゃんという名前は、子供の頃からぴーぴー鳴いていたから。 ぴーちゃんは、飛行機に乗って遠く九州から東京にやって来ま…

街の夕日(フリー写真)

人とのご縁

自分は三人兄弟の真ん中として、どこにでもある中流家庭で育ちました。 父はかなり堅い会社のサラリーマンで、性格も真面目一筋。それは厳格で厳しい父親でした。 母は元々小学校の教…

フライト(フリー写真)

相手を思い遣る心

国内線のCAとして、多い時で一日に 2,000人以上のお客様と接してきた私は、 『人の思いや気持ち(内面)は、日常の行動(外面)に現れる』 ことを学びました。 12…

犬(フリー写真)

天国のアビーへ

米国の4歳の女の子が愛犬の死を受け、神様に手紙を送ったという話が、米ニュースサイトのニュースバインで紹介された。 このエピソードは、女の子の母親から送られて来たメールを見た記者…

バー(フリー写真)

大好きな姉

20歳を迎えたその日、姉が雰囲気の良いショットバーに連れて行ってくれた。 初めてのバーに圧倒されている俺を見て、姉は 「緊張してんの? 何か子供の頃のアンタみたい」 …

母の手

あのハンバーグの味

私の母は生まれながらにして両腕に障害を持っていました。 そのため、家庭の料理はほとんど父が担当していたのです。 しかし学校の遠足などで弁当が必要な時は、母が一生懸命に作っ…