育ててくれてありがとう
中学生の頃はちょうど反抗期の真っ最中だった。
ある日、母と些細な事で喧嘩になり、母から
「そんな子に育てた覚えはない!」
と言われました。
売り言葉に買い言葉で、
「産んでくれなんて頼んだ覚えは無いよ!」
と、つい言ってしまいました。
お前なんて産まなきゃ良かったくらいの言葉が返ってくるかと思ったのに、母は私のその言葉を聞いてから黙ってしまい、返事をする事はありませんでした。
※
それから月日は経ち、私が大学入学する時に戸籍抄本を提出しなくてはいけなかったので、役所へ取りに行きました。
その戸籍には『養女』の文字が…。
私は父と母の本当の娘ではなかったのです。
そんな事実は全く知らずに、あの日に言ってしまったあの言葉。
悔やんでも悔やみ切れませんでした。
※
養女だと知った時、私は全くショックは受けませんでした。
寧ろ、お父さんとお母さんの子として育った私は何て幸せなんだろうと、胸が一杯になったのをよく覚えています。
お母さん、あの日はごめんなさい。
私を本当の子以上に大切に育ててくれた事、感謝しています。
私も自分の子供達に、母が私に注いでくれたような愛情を持って育てたいと思います。