家族で笑った思い出
数年前に、実家の一家の大黒柱である父が倒れた。
脳梗塞で、一命は取り留めたものの麻痺が残ってしまった。
母は親戚(成年後見人)に上手いことを言われて離婚させられた。
財産分与無しで実家を出された。
弟達は当時、専門学生と高校生だった。
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父を心配して、病室に何度か一緒に足を運んだ母が、父に言った言葉が忘れられない。
「お父さん、息子たちは私が立派に育てるからね!心配しないでね!」
それを聞いて、言葉を話せない父が涙を流した。
母も泣いていた。
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その後、母は狭い公営住宅に住みながら、介護の仕事をして女手一つで弟達を無事に卒業させた。
一番下の弟の高校の卒業式の様子がケーブルテレビで流れていたのだけど、お母さんめっちゃ号泣していた。
私もそれを見て泣いた。
「子育て終わったね!ご苦労様!」
とメールした。
そしたら、
「ありがとう。でもお母さん一人になっちゃうね」
と返って来た。
これからは寂しくないようにしてあげようと思った。
父は現在、施設に居るからいつでも会える。
また家族になりたいのに、成年後見人に滅茶苦茶にされ、もうあの頃に戻れない苦しさ。
どんなに泣いても、時間は帰って来ない。
家族で笑った思い出を夢で見るほどに…。
『何で、あの頃にもっと…』
色々込み上げて来る。
※
私はこの事があってから、
『人はいつどうなるか分からない』
と思った。
そして、母は強しという言葉は本当なのだなと…。
色々な思いが込み上げて来た。
それまで適当に生きて来た私だけど、資格を取り、真面目に生きようと決めた。
お父さんお母さん、また家族になれますように。