奇跡のメッセージ

赤ちゃん

結婚して五年目、ようやく待ちに待った子どもが生まれた。

抱きしめた瞬間、涙があふれ、世界で一番の宝物だと思った。

二年が経ち、子どもに障害があることが判明した。

目の前が真っ暗になった。すべてが嫌になった。

そして、子どもを連れて、いっそ一緒に死んでしまおうとまで思った。

そんなとき、旦那からメールが届いた。

『好きで好きでたまらない貴方と結婚できて嬉しかった。

子どもが俺たちの間に生まれてきてくれて、本当に嬉しかった。

でも、障害があるとわかって、今、貴方は苦しんでいるね。

でもさ、子どもはきっと世界一、幸せだと思うよ。

貴女とオレの子だから。

人より遠回りするかもしれない。ゆっくり成長するかもしれない。

でも、その分、いろんなものが見られるよね。

二人三脚でしっかり歩いて行こうよ!

──本日の幸せ──

子どもが「ママ~すき!」と言えた。

早朝五時、あり得ない時間に起きて、三人で行った散歩、思いのほか楽しかったな。

夕飯のぶり大根、美味かった!

三人で入った、狭くてギューギューのお風呂、たまにはいいもんだ。

なっ! 今日だけでも、こんなにいっぱい楽しいことがあったろ?

明日はどんな幸せが待ってるかな。

なっ、ママ。

最後に、子どもが寝たらDVD観よ!

奮発して買ってきたんだ。ママの好きな「古畑」だよ。

ほら、またひとつ幸せが増えたな。

辛いことは、日にそう何回もあるもんじゃない。

楽しいこと、幸せなことは、日に何度でもある。

ママ、一緒に乗り越えような!』

読み終えたとき、涙が止まらなかった。

この人と出会えてよかった。

この子と一緒に生きていけることが、どんなに尊いことか、心の底から感じた。

今、私たちは、約束どおり二人三脚で、楽しく、笑いながら、毎日を歩いている。

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