恩師の体温計
戦後すぐの山あいの貧しい村で病弱だった私の脇に、恩師の体温計を毎日挟みに来てくれた矢島先生。四十年後、記憶を失い私を忘れた先生に、私は同じ体温計で五分の検温を続…
仕事の場所には、人の本音が宿っています。お客さんとのやりとり、先輩の背中、後輩への言葉——仕事をテーマにした泣ける話は、日常の中の人間の温かさと誠実さを描いています。「感動する話 実話」を探しているあなたへ。
戦後すぐの山あいの貧しい村で病弱だった私の脇に、恩師の体温計を毎日挟みに来てくれた矢島先生。四十年後、記憶を失い私を忘れた先生に、私は同じ体温計で五分の検温を続…
転任前日に音楽の先生がくれた一枚の五線紙を、わたしは読まないまま忘れた。五十三歳のある日、母が熊本の実家を片付けて送ってきた文具箱の底から、その紙が出てきた。万…
昭和の終わり、北関東の城下町で三代続いた床屋を継いだ続かない俺。大叔父である先代から受け継いだ親方の革砥と、三十年分の常連カルテだけを頼りに刃を握る。嵐の朝、シ…
昭和六十年の米沢、紅花染めの白猫を私はいつも追い払っていた。寡黙な親方が四十年誰にも告げず欠けた茶碗で養い続けてきた本当の理由は、空襲で失った五歳の妹『文子』へ…
父が急逝し、小豆島の小さな醤油蔵を継いだ俺の前に、四十年勤めた女性が辞表を出した。父と彼女が交わした四十年前の約束を辿った時、机の底から出てきた一冊のノートが胸…
右手を怪我して誰にも言えなかった大工。泣ける話──25年来の仕事仲間は、鑿の音が変わったその日から気づいていた。職人の誇りと、言葉にしない友情の実話。…
飛騨高山に赴任した義肢装具士の洋介は、担当患者の中に幼馴染の春子を見つけた。中学時代に傷つけた言葉をずっと謝れなかった男が、技術という誠意で届けた泣ける話。…
廃業の危機に立つ銭湯の三代目が、無口な常連老人の死後に知った秘密。五十四年間、壁に飾られた油絵は誰が描いたのか。泣ける話・感動する話として多くの人の心に残る短編…
義肢装具士の俺が二十年前に作った義足を、あの日の女の子が工房に持ち帰ってきた。「また、ウサギを彫ってください」——見えない場所で誰かの人生を変えていた、静かな感…
独立を反対されたと思い続けた十年。工房の棚の奥に見つけた箱には、師匠が独立の翌日に書いた一枚の手紙が入っていた。感動の泣ける話・短編。…
十五年前、大阪の雨の夜に私のタクシーに残された、ひかりと書かれた小さな貯金箱。ずっと返せずにいた忘れ物が、思いがけない再会で持ち主の娘のもとへ帰っていく。静かに…
口が悪くて怖かった気象台の先輩。退職してから五年、引き出しで眠っていた表彰状の中に、信じられないものが挟まっていた。心が震える仕事の感動話。…
島の郵便局に赴任した私の元へ、毎週金曜日に届かない葉書を書き続ける老人が通っていた。七年前に亡くなった妻への百四十三枚の手紙。届かないと知りながら書き続けた、静…
離島で消防士として働く私が救急出動で駆けつけた先は、二十年前に人生を変えてくれた恩師の家だった。再会が明かす、先生の二十年越しの想いとは。…
定年退職を迎えた教師のもとに、かつての教え子から一通の手紙が届く。『つまらん』と言い続けた言葉の向こう側にあったもの。…