恋愛

無音の世界で芽生えた恋

| 心温まる話 | 恋愛

五年前の冬の朝。 出動指令の無線が車内に響き、私たち消防隊は病院火災の現場へ走った。 空気は乾ききり、到着したときには二階の窓から黄炎が噴き上がっていた。 …

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彼女が遺した時刻の暗号

元号が昭和から平成に変わろうとしていた頃のことです。 私は二十代半ば、彼女も同い年でした。 ちょうど、付き合おうかという時期に――彼女から、泣きながら一本の…

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もどれない過去と、隣にある幸せ

| 心温まる話 | 恋愛

僕が会社を辞めたのは、24歳のときだった。 理由は、当時の上司の姿に未来の自分を重ねてしまったから。 彼は会社の駐車場で寝泊まりし、わずかに見られるのは子ど…

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あの時のペンダント

俺が中学2年生だったときの話だ。 当時、幼馴染のKという女の子がいた。 小さい頃からよく一緒に遊んでいて、気づけば俺はKに恋心を抱くようになっていた。 でも…

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一番近くにいた優しさ

私は昔から、何事にも無関心で、無愛想な性格でした。 友達は、片手で数えるほどしかいませんでした。 恋愛に至っては、生まれてこのかた、たったの二回。 ※ でも…

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あなたの記憶に、私の名前だけが残った

私の夫は、結婚する前に脳の病気で倒れ、死の淵を彷徨いました。 その知らせを私が知ったのは、倒れてから5日も経ってからのことでした。 彼の家族が病院に駆けつけ…

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あと二日で叶った願い

私の彼氏は、もうこの世にいません。 希少がんという、稀にしか見つからない病気でした。 彼は、我慢強くて、なかなか弱音を吐けない人でした。 それでも、陽気で明…

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一度きりの恋

俺が惚れた子の話をします。 俺はもう、40歳手前の独身男です。 もう5年近く、彼女もいません。 ※ そんな俺が、去年の5月ごろに友人に誘われ、なんとなくゴル…

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彼がくれた最期の「ありがとう」

あれは、今から一年半前。大学3年になったばかりの春のことでした。 授業が終わり、帰り支度をしていると、携帯が鳴りました。 画面に表示されたのは、彼の親友から…

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千穂姉ちゃんが待っていたもの

俺が小学三年生の夏休みに体験した話だ。 今の今まで、すっかり忘れていた。 ※ 小学校の夏休みといえば、遊びまくった記憶しかない。 午前中は勉強しろという先生…

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君がくれた、小さな勇気

初めて彼女に会ったのは、内定式のときだった。同期として顔を合わせた。 聡明を絵に描いたような人だった。学生時代に書いた論文か何かが賞を獲ったらしく、期待の新…

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届かなかったごめん

| 恋愛 | 悲しい話

あの日、俺は彼女と、ほんの些細なことでケンカをしていた。 原因は覚えていないほどの小さなことだったけれど、お互いに意地を張り、言葉が冷たくなっていった。 険…

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並んで歩く理由

交通事故に遭ってから、私の左半身には少し麻痺が残ってしまった。 日常生活には大きな支障はないけれど、歩いていると、少しだけその異変が目立ってしまう。 だから…

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ふたりの幸せのかたち

もう五年も前のことになる。当時、俺は無職だった。 そんな自分に、ひとりの彼女ができた。きっかけは、彼女の悩みをたまたま聞いてあげたことだった。 正直なところ…

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