声を失った猫
昔話だけど。 実家の猫は赤ちゃんの時、空き地で目も潰れて放置され、泣き喚いていたところを保護したんだ。正直、化け猫のようで触るのも躊躇するほどの悲惨さだった。目…
読んでいるうちに、胸がじわりと温かくなる話を集めました。日常の中に隠れた誰かの優しさ、見えないところで続けられた愛情、言葉にならなかった想い。泣けるというより、しみじみと何かが伝わってくる——そんな感動する話をお届けします。
昔話だけど。 実家の猫は赤ちゃんの時、空き地で目も潰れて放置され、泣き喚いていたところを保護したんだ。正直、化け猫のようで触るのも躊躇するほどの悲惨さだった。目…
東日本大震災が発生した。 辺りは想像を絶する光景に変わっていた。鳥居のように積み重なった車、田んぼに浮かぶ漁船。一階部分は瓦礫で隙間なく埋め尽くされ、道路さえま…
中学2年生の夏から一年間入院し、その後の人生は自立への道だった。 高校受験、下宿生活、卒業後の就職、そして結婚。 家族への連絡は少なく、ホームシックを感じること…
結婚当初、姑との関係は上手く噛み合わず、会う度に気疲れしていた。 意地悪されることはなかったが、実母とは違い、姑は喜怒哀楽を直接表現せず、シャキシャキとした仕事…
大戦中、ドイツ軍の捕虜収容所に居たフランス兵たちのグループが、捕虜生活の苛立ちから来る仲間内の争いや悲嘆を紛らわすために、共同で「脳内共同ガールフレンド」を創り…
第二次大戦が終わり、私は復員した日本の兵士の家族たちへの通知業務に就いていました。暑い日の出来事です。毎日、痩せ衰えた留守家族たちに彼らの愛する人々の死を伝える…
妊娠と同時に、夫の癌が発覚しました。彼は子供の顔を一目見るまで頑張ると決心していましたが、残念ながら間に合いませんでした。夫が亡くなってからは、私一人で息子を育…
新潟・高田の雁木の家で、母の残した黒い電話が鳴りました。「俺だけど、母さん」と名乗る若い男。詐欺だと思い声真似で応じた四日間の先に、私のかけた十時の電話がいつも…
3年前、私は桜が開花し始める頃に自殺を考えていました。失恋、借金、会社の倒産と様々な問題が重なり、絶望していたのです。両親とも絶縁状態で、孤独を感じていました。…
高校一年の夏に父のがんを知り、八戸の市場に立ち続ける背中を見ていました。父の帳面は一の位だけが鉛筆です。その数字の意味と、最後の一年に父が市場で呼ばれていた名前…
私はかつて、家の貧しい状況から夜の仕事をしながら大学に通うキャバクラ嬢でした。 私の初めてのお客様は、Yさんという70歳のお爺ちゃん。彼は口下手で、私の話に対し…
私が6歳のとき、父が再婚し、新しい母親がやって来ました。 「今日からこの人がお前のお母さんだ」と父が紹介したその日から、彼女は私を本当の子供のように可愛がってく…
宮城県民の私は、朝からスーパーに並んでいました。 私の前にいたのは、母親と泣きべそをかいている子供。 その子供は、壊れたニンテンドーDSを大事に持っていました。…
彼は肺がんで入院し、余命宣告されていました。 本人は退院後の仕事の予定を立て、これからの人生に気力を振り絞っていました。 私と彼は半同棲状態で、彼はバツイチで大…
二十歳でヨーロッパを旅していた時の実話です。ルフトハンザの国内線でフランクフルト上空にいた時、隣に座ったアメリカ人の老紳士に話しかけられました。日本の素晴らしさ…