峠を歩く人が船に乗った日
泣ける話・長編。半島の集落で俺を育てた隣家のトキさんは、渡船に乗らず峠を歩き、いつも俺を右側に立たせた。十五の夏の約束を果たせないまま別れて三十年、廃止される渡…
泣ける話・長編。半島の集落で俺を育てた隣家のトキさんは、渡船に乗らず峠を歩き、いつも俺を右側に立たせた。十五の夏の約束を果たせないまま別れて三十年、廃止される渡…
昭和四十三年の瀬戸内、造船の町。船大工の俺は時化で兄夫婦を失い、遺された甥の修を四年育てた。その修が静かに眠り、削りかけの賽子だけが作業台に残る。半年後、納屋に…
瀬戸内の造船の町で、身寄りのない見習いの私は、廻船問屋の娘・志津と出会った。療養先から届く文の終いには、いつも「迎えに来てね」。五十年近く手放せずにいる、掌ほど…
船大工の俺は、亡き父の道具箱から「とみ」と妻の名が彫られた古い鑿を見つけた。三十五年連れ添った妻と、亡き父が静かに残した感謝の物語。号泣必至の感動短編。…
風呂場で見た、左ふくらはぎの拳ほどの窪み。祖父の傷跡の意味を、孫は高校二年の夏の夕暮れ、動かない足首を背負われた坂道で初めて知る。戦地で隊長に背負われた重さを、…