父と息子のキャッチボール
造船の町に生きた父は、病に伏してなお息子の全力のキャッチボールを受けとめました。痩せた腕で一球も落とさず、痛みと引き換えに投げ返してくれた三十球。最後の手帳に遺…
造船の町に生きた父は、病に伏してなお息子の全力のキャッチボールを受けとめました。痩せた腕で一球も落とさず、痛みと引き換えに投げ返してくれた三十球。最後の手帳に遺…
下町の蕎麦屋そば処やなぎ。二十歳の暮れ、病床の父が引き出しから出したのは黄ばんだ封筒でした。差出人は、僕が十二の冬に逝った母です。角に重なったテープの跡が四つあ…
親父は川べりから帰るとき、いつも平たい石をひとつだけポケットに入れていた。負けた日にだけそうしていたと知ったのは、逝ったあとだ。物置の缶に詰まっていた水切りの石…
岡山の北、製材の町で育った私に、無口な父は河原で走り方を教えた。喧嘩のあと走るのをやめた私が、雪の朝に病室で握らされた父のタスキ。あの晩、父が言いかけた言葉の続…
高岡の銅器着色師だった父が、結婚の報告に帰った僕へ差し出した十二年分の通帳。家に入れたのは四ヶ月だけの五万円が、毎月同じ日に積まれていた理由と、給料日の晩に飲ま…