もう一回出来るよ
昼休みのゲームセンターで、百円玉を握りしめた小学生が高校生との対戦に乱入した。負けて帰ろうとする背中に「もう一回出来るよ」と声がかかる。三週間後、同じ台の前でそ…
昼休みのゲームセンターで、百円玉を握りしめた小学生が高校生との対戦に乱入した。負けて帰ろうとする背中に「もう一回出来るよ」と声がかかる。三週間後、同じ台の前でそ…
春一番の日、店の駐車場に散った段ボールを一人で追いかけていた私のもとへ、文句を言った若いカップルが髪も服も乱れたまま両腕いっぱいの箱を抱えて戻ってきた。レジ係が…
記録的な大雪で三日間も孤立した郡上の集落。配給の列で壊れたラジコンを抱えた男の子に、中学生の少年が自分のものを差し出しました。その底に残っていた四角い跡が語る、…
保健センターの母子教室に迷い込んできた、おばあさんと二人の男の子。袖口のほつれを見もせずに継いだその手つきの意味を知ったのは、半年後、桐生の織物工場の休憩所でし…
地震で水道が止まった能登の坂道。豆腐屋の店先に伸びた列で、三度並んで三度とも順番を譲った彫り物の男は、湯気にだけ礼を言って去りました。誰も名前を知らないその人が…