炭鉱跡の野原の干し花
十三年ぶりに東京へ届いた小包には、手紙が一行も入っていなかった。薄い木の額と、白い星形の野原の干し花が一枚きり。送り主は筑豊の炭鉱町で一緒に育った幼馴染だった。…
続きを読む:炭鉱跡の野原の干し花十三年ぶりに東京へ届いた小包には、手紙が一行も入っていなかった。薄い木の額と、白い星形の野原の干し花が一枚きり。送り主は筑豊の炭鉱町で一緒に育った幼馴染だった。…
続きを読む:炭鉱跡の野原の干し花押し入れから出てきた古い地図には、赤ペンで七つの丸印がついていた。それはすべて、私と関係のある場所だった。母は毎年、私の誕生日に一人でその道を歩いていたという。…
続きを読む:母が隠していた地図3年ぶりに帰省した孫が、祖母の指に50年間輝き続ける銀の指輪を見つけた。祖父が5年かけて贈った指輪に込められた無口な愛情と、老いていく祖母の姿に、失われた時間の…
続きを読む:銀の指輪の重さ海辺の幼稚園で出会った無口な園児・龍之介。急な転勤で別れも言えないまま、二月に大阪から届いた龍之介の絵日記には、どのページにも隅っこにエプロン姿の先生がいた。静…
続きを読む:龍之介の絵日記十七年前、文化祭で落としたカーディガンのボタン。拾ってくれた隣の席の彼は、返さないまま卒業した。薬剤師になった私の前に、あの日のボタンが届くまでの物語。…
続きを読む:十七年後のボタン母を亡くした後、無口な林業家の父と疎遠になった陶芸家の息子。父の入院をきっかけに実家を訪れた彼が、作業小屋で見つけた28体の木彫りの人形に刻まれていた、誰にも語…
続きを読む:削りかけの木十五年前に家を出た弟が、雪の日に蕎麦屋を訪ねてきた。手にしていたのは父の形見の砥石。蕎麦職人の兄が弟の打つ蕎麦を食べたとき、父が最後に伝えたかったことを知る。…
続きを読む:弟は黙って研いでいた湖の対岸の料亭で最後の壁を塗り終えた日、女将から「奥さんが三年前にいらした」と聞かされました。座敷の北の角だけ、土の色が濃い。その夜、三十年毎朝使ってきた不格好…
続きを読む:不格好な湯呑みと最後の壁スタメンに選ばれた夏、親友が三ヶ月分のバイト代で買った健一のバッシュを貸してくれた。二十数年後、深夜のタクシーで知った入院と、LINEの下書きに並ぶ未送信の二十…
続きを読む:健一のバッシュと二十四通の下書き港町の惣菜屋で働く母の割烹着が恥ずかしかった。東京で花屋を開いた息子が十年ぶりに帰郷して見つけたのは、母が裏庭でひっそり育てていた息子と同じ花だった——心が震え…
続きを読む:割烹着に残る花の匂い認知症で孫の名前も忘れた祖父。ボランティアで髪を切る孫の手に、祖父の指が重なり正しいハサミの角度を教えた。六十年の技が体に刻まれていた、理容師の祖父と孫の物語。…
続きを読む:忘れても手は覚えていたラクリマを応援する
読んでいただけるだけで、十分に励みになります。
当サイトは個人で運営しており、いただいたご支援はサーバー代やドメインの維持費に大切に使わせていただきます。
¥240 の一度きりのお支払いで応援いただけます。
お礼として、以後ずっと広告を非表示にいたします(継続課金はありません)。
ブラウザを変えた・Cookieを削除した場合は、登録のメールアドレスを入力してください。