カテゴリー: 兄弟姉妹

兄弟姉妹という関係は、不思議なものです。一番近くにいるのに、一番言えないことがある。妹のこと、弟のこと、兄のこと、姉のこと——兄弟姉妹にまつわる泣ける話は、身近すぎて見えていなかった絆を気づかせてくれます。

兄の魚拓帳

十一年口をきかなかった弟が、兄の魚拓帳をめくると、毎年の余白に「静夫、来ず」と書かれていた。十一年分の四文字は、責める言葉ではなく招く言葉だったと知るまでの、道…

兄ちゃんの鋏の音

「兄ちゃんは手でしゃべる人」——三十年前に亡くなった弟が遺した古い動画で、ずっと謝れなかった理容師の兄が知る本当の気持ち。不器用な兄弟の沈黙の理解が、姪の結婚式…

ランドセルの色

十一年ぶりに兄と再会したのは、娘のランドセルを選ぶ店だった。ずっと言えなかった「ありがとう」が、冬の光の中でゆっくりとほどけていく。…

弟は黙って研いでいた

十五年前に家を出た弟が、雪の日に蕎麦屋を訪ねてきた。手にしていたのは父の形見の砥石。蕎麦職人の兄が弟の打つ蕎麦を食べたとき、父が最後に伝えたかったことを知る。…

雪の日に開いた兄の手帳

北海道の漁村で写真を撮り続けた兄が旅立った。荷物を引き取りに行った二月の部屋で、押し入れの奥から黒い表紙の兄の手帳が出てきた。毎年三月十四日にだけ、撮影記録のな…

兄の手帳と声

下町の工務店で逝った兄の遺品から見つかった手帳の走り書き。古いスマートフォンに残された27件のボイスメモに、介護士の妹に伝えられなかった言葉が静かに残されていた…

手首の紐でつながれた夜

中学二年の夏、目の前で幼馴染を失った俺は眠れず、食べられず、夜ごと玄関に立った。そんな俺と兄を結んでいたのは、体育館シューズの白い手首の紐だった。二十年近く経っ…

玄関で泣いた兄の背中

両親の離婚の夜、六歳上の兄は玄関の靴の前に正座して、出て行く母を引き止めようとした。大人になって初めて知った真実と、遠ざかる兄の背中に、妹がずっと言えなかった「…