兄はひびの入った桶を選んだ
炭鉱町の銭湯で、兄はいつも底にひびの入った木桶を選び、壁を三度叩いた。番台の私はそれを妹を急かす苛立ちだと思い込み、三十五年ものあいだ薄情な子どもだと決めつけて…
炭鉱町の銭湯で、兄はいつも底にひびの入った木桶を選び、壁を三度叩いた。番台の私はそれを妹を急かす苛立ちだと思い込み、三十五年ものあいだ薄情な子どもだと決めつけて…
昭和の城下町の銭湯を舞台にした泣ける話。番台を継いだ俺が、だらしないと決めつけた路地裏の少年。先代が遺した帳面には、母を見送り独りで長湯をする子の姿が記されてい…
廃業の危機に立つ銭湯の三代目が、無口な常連老人の死後に知った秘密。五十四年間、壁に飾られた油絵は誰が描いたのか。泣ける話・感動する話として多くの人の心に残る短編…
北陸の銭湯を継いで十七年。番台の上で妻の銀色の携帯が一度だけ震えた夜から、私は落ち着かなくなりました。綾が頑なに機種変更をしない理由は、脱衣所の棚に置かれた古い…
何をしても続かなかった二十六歳の私が、下町の古い銭湯の番台でようやく見つけた居場所。釘に五十年掛かったままの四十七番の下足札、雪の晩の一杯の熱い番茶、そして混み…