十一年目に外したしつけ糸
婚約者の長い療養で結婚式をあきらめた私と、注文の止まったウェディングドレスを十一年間しつけ糸のまま守り続けた仕立て屋の物語。袖口の白い糸に隠されていた約束と、病…
婚約者の長い療養で結婚式をあきらめた私と、注文の止まったウェディングドレスを十一年間しつけ糸のまま守り続けた仕立て屋の物語。袖口の白い糸に隠されていた約束と、病…
新潟の式場で流れた、亡き母のビデオレター。鉄筋工の父へ宛てた最後の五行に、二百人の会場が音をなくしました。半年後、画面が三度だけ下がる理由と、箱に書かれたひらが…
萩の夏みかん菓子屋に十八で住み込んだ私が、亡き師匠の遺した一本のテープを聞いたのは、その娘の結婚式の日でした。二十年ものあいだ剝がれたラベルの名前を読み違えてい…
妻の連れ子だった娘を、鬼瓦を彫る職人の私は十二年かけて育てました。血の繋がらない父娘に向けられた世間の冷たい目、そして結婚式で娘が静かに明かした「鬼の裏に彫られ…
「式には出ん」と言い続けた父は、娘の結婚式で着る服がわからないと言いました。宍道湖のシジミ漁師の家の鴨居に十九年掛かったままの礼服と、切られなかった仕立て札。ブ…
二歳で母を亡くし、声も顔も知らずに育った娘。その結婚披露宴で、父が二十五年間ひそかに守り続けた一本のテープを再生します。初めて聞く母の声と子守唄に会場が涙した感…