第二日曜に母は出かける
母の鞄には、よく晴れた日にも折りたたみ傘が入っていた。第二日曜だけは用事があると言って、私の誘いはいつも断られた。母が入院した週、財布に残っていた交通系ICカー…
母の鞄には、よく晴れた日にも折りたたみ傘が入っていた。第二日曜だけは用事があると言って、私の誘いはいつも断られた。母が入院した週、財布に残っていた交通系ICカー…
夜行バスの中でスマホが光った。『クウの散歩を記録しました 2.4キロ 38分』。もう歩けるはずのない犬の記録が、なぜ今日も届き続けるのか。確かめるためだけに引き…
転校生の花ちゃんに毎日弁当を作り続けた小学校教師の里子。「先生の弁当箱、お母さんのと同じ色だ」という一言が、二十年前に断ってしまった母の手弁当の記憶を呼び覚ます…
押し入れから出てきた古い地図には、赤ペンで七つの丸印がついていた。それはすべて、私と関係のある場所だった。母は毎年、私の誕生日に一人でその道を歩いていたという。…
雪深い温泉町で、十九歳の私は独りで娘を育てていました。玄関の履物をいつもそろえてくれた咲。あの子が遺した小さな習慣の本当の意味に私が気づいたのは、何年もあとのこ…