川の生きもの図鑑の空白
隣の家の章にいと二人で作った川の生きもの図鑑は、九十三番で止まったままでした。塀一枚向こうの窓を見ないようにして過ごした二年のあと、私の手に残されたのは絵のない…
隣の家の章にいと二人で作った川の生きもの図鑑は、九十三番で止まったままでした。塀一枚向こうの窓を見ないようにして過ごした二年のあと、私の手に残されたのは絵のない…
血のつながらない父を、私はずっと父だと思えませんでした。無口で不器用なその人が、菓子の缶にひそかに隠していたもの。遺された手帳のたった一行が、すれ違い続けた親子…
母が中古のフィルムカメラで撮り続けていたのは、なんでもない私の毎日でした。つまらないと突き放した息子が、遺されたフィルムを現像して初めて知る、本当の宝物。港町で…
付き合って三年目の記念日、些細な喧嘩で家を出た恋人が、わずか十分後に近所の交差点で逝きました。遺された缶コーヒーとカーディガンが静かに語った、不器用なあの人の深…
優しい恋人を世間の目で測り、つらく当たり続けてしまった俺の泣ける話です。彼女が割った父の形見の帆船模型と、事故のあとに見つけた一冊の日記が、すべてを変えました。…