タグ: 父と息子

継ぎ目の音を数えた子

六十三歳で夜間の大学に入った元保線員の私は、講義室の窓の震えの中に線路の継ぎ目の音を聞いていました。十八年会っていない父と息子をもう一度つないだのは、私がかつて…

おやじがかんなを渡した朝

父とまともに話したのは、十三年ぶりだった。大工だった父から渡された古いかんな。その裏に小さく彫られた文字が、長年の沈黙をほどいていく、父と息子の感動の実話。…

削りかけの木

母を亡くした後、無口な林業家の父と疎遠になった陶芸家の息子。父の入院をきっかけに実家を訪れた彼が、作業小屋で見つけた28体の木彫りの人形に刻まれていた、誰にも語…

島のピアノと父の電話

ピアノ調律師の私は、父が亡くなった知らせを島へ向かうフェリーで受けた。実家に残された古い携帯の発信履歴と、毎年三月に届いていた島のピアノの調律依頼。請求書の隅に…

出口に近いほうの席に座る父

靴箱の上の火防せのお守りは、私が消防士になった年からそこにあった。倒れた父の病室で声をかけてきた元同僚の一言と、物置の菓子缶に納められないまま溜まっていた十四体…