もう一度、あの笑顔に会いたくて

私の前の上司、課長は無口で無表情な人でした。 雑談には加わらず、お酒も飲まない。人付き合いを避ける、どこまでも堅物な方でした。 そのぶん、誠実で公平。どんな…

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パソコンが得意な息子へ

俺がまだ小学校に上がる前、父親は交通事故で亡くなった。 母親は、女手ひとつで俺を育ててくれた。 ※ 家は貧しく、県立高校を受けたが落ちてしまい、私立に通う余…

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涙のビーフシチュー

昨日の朝、女房と喧嘩をした。いや、喧嘩なんてもんじゃない。酷いことをしてしまった。 原因は、前の晩の夜更かし。寝不足で不機嫌なまま起きた俺の、最悪の寝起きだ…

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娘の手紙と、父になれた日

| 子供 | 家族 | 心温まる話

土曜日、一人娘の結婚式だったんさ。 ※ 俺が彼女と出会ったのは、俺が25歳のとき。嫁は33歳だった。娘は、当時13歳。 つまり、娘は嫁の連れ子だった。 大き…

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娘になった君へ

俺が結婚したのは、20歳のときだった。 相手は1歳年上の妻。学生結婚だった。 二人とも貧乏で、先の見えない毎日だったけれど、それでも毎日が幸せだった。 ※ …

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失ってもなお、愛している

| 夫婦 | 子供 | 家族 | 悲しい話

家内を亡くしました。 お腹には、二人目の子どもがいました。 その日、彼女は病院へ向かうため、タクシーに乗っていました。けれど途中で、居眠り運転のトラックと正…

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桂川にて — 最後の親孝行

| 家族 | 悲しい話 |

2006年2月1日、京都市伏見区・桂川の河川敷で、一組の母子が静かに“終わり”を迎えようとしていました。 事件として報じられたのは、無職の片桐康晴被告が、認…

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サンタさんへ ― 6歳の願いごと

クリスマスの数日前、6歳の娘が、欲しいものを手紙に書いて窓際に置いていました。 ピンクのキティちゃんの便箋が、丁寧に折りたたまれていて。 「何が欲しいのかな…

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生まれて来てくれてありがとう

| 子供 | 家族 | 悲しい話

「出て行け」と親に言われ、家を飛び出してから6年が経った。 あのときの怒鳴り声と、自分の怒りは今でも耳に残っている。 家を出てから3年が経った頃、ひとりの女…

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芋ようかんと母の手紙

俺に言わせてください。 ありがとうって言いたいです。 いつも毒男板に来ては、煽ってばかりいた。性格の悪さを、今さらながら反省してます。 きっと俺に罰が当たっ…

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「おかえり」と言ってくれる人

| 家族 | 心温まる話 |

私は、父が大好きだ。 いつも優しくて、笑顔を絶やさない人。 私がいじめられていたときも、誰よりも真剣に話を聞いてくれて、守ってくれた。 ※ 父の職場は遠くて…

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優しさを遺してくれた人へ

先日、亡くなった妻のガラケーの情報を引き出してもらった。 きっかけは、何気なく立ち寄った携帯ショップで見かけた「古い携帯のデータ復旧」の広告だった。 ※ 思…

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花嫁姿を見せたくて

大学生の頃、仲の良かった友人のAちゃんは、同じ大学の彼氏B君と同棲を始めました。まだ若かったふたりに、両親は「結婚はまだ早い。責任ある交際を」と諭していまし…

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希望の手紙

| 震災に関する話

石井三曹がその手紙を受け取ったのは、東日本大震災の混乱が続くある日のことだった。 少女は突然、母親と思しき女性の運転する車から降りて来て、偶然近くを歩いてい…

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