余命3ヶ月の母の“最後のおむすび”

僕がかつて看取った患者さんに、スキルス胃がんを患っていた一人の女性がいました。 余命3ヶ月と診断され、彼女はある病院の緩和ケア病棟に入院してきました。 ※ …

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一番近くにいた優しさ

私は昔から、何事にも無関心で、無愛想な性格でした。 友達は、片手で数えるほどしかいませんでした。 恋愛に至っては、生まれてこのかた、たったの二回。 ※ でも…

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三度、月に祈った夜

| 友情 | 夫婦 | 子供 | 家族 | 悲しい話

俺は、これまでの人生で三度だけ、神様にすがったことがある。 ※ 最初は、七歳のとき。 両親が離婚し、俺は父方の祖父母に預けられた。 祖父母はとても厳しく、愛…

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あなたの記憶に、私の名前だけが残った

私の夫は、結婚する前に脳の病気で倒れ、死の淵を彷徨いました。 その知らせを私が知ったのは、倒れてから5日も経ってからのことでした。 彼の家族が病院に駆けつけ…

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あと二日で叶った願い

私の彼氏は、もうこの世にいません。 希少がんという、稀にしか見つからない病気でした。 彼は、我慢強くて、なかなか弱音を吐けない人でした。 それでも、陽気で明…

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少年がくれた希望の灯

1月の寒い朝になると、必ず思い出す少年がいます。 あれは、私が狭心症のため休職し、九州の実家で静養していたときのことでした。 毎朝、愛犬のテツと散歩に出かけ…

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一度きりの恋

俺が惚れた子の話をします。 俺はもう、40歳手前の独身男です。 もう5年近く、彼女もいません。 ※ そんな俺が、去年の5月ごろに友人に誘われ、なんとなくゴル…

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「ありがとう」から始まった家族

兄家族が、俺たちの家に突然やってきた。  そして――長女を置いて、引っ越していった。 ※ 兄も兄嫁も、昔から甥っ子ばかりを溺愛していた。 甥は確かにすごい奴…

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彼がくれた最期の「ありがとう」

あれは、今から一年半前。大学3年になったばかりの春のことでした。 授業が終わり、帰り支度をしていると、携帯が鳴りました。 画面に表示されたのは、彼の親友から…

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結婚式に届いた母のビデオレター

| 夫婦 | 家族 | 心温まる話 |

本人から聞いたのか、共通の友人から聞いたのか──その記憶は曖昧だけれど。 「物心がつく前に母親を亡くし、父親に育てられた子だ」と、その話はいつの間にか耳に入…

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雪と一緒にいるから

「ゆきをとってきて…おねがい、ゆきがみたい…」 あなたはそう言って、季節外れの雪をほしがりましたね。 ※ あれから、何年もの月日が流れました。 あなたは、い…

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パパに届けたくて

4歳になる娘が、「字を教えてほしい」と言ってきました。 正直、どうせすぐ飽きるだろうと思いながらも、毎晩少しずつ教えてあげるようになりました。 「あ」はこう…

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あした かえるね

私の甥っ子は、母親である妹が病気で入院したとき、しばらくの間、私たち家族のもとで過ごすことになりました。 「ままが びょうきだから、おとまりさせてね」 そう…

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千穂姉ちゃんが待っていたもの

俺が小学三年生の夏休みに体験した話だ。 今の今まで、すっかり忘れていた。 ※ 小学校の夏休みといえば、遊びまくった記憶しかない。 午前中は勉強しろという先生…

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