父からの保護メール
俺は現在高校3年生なんだけど、10月26日に父親が死んだ。
凄く尊敬出来る、素晴らしい父親だった。
だから死んだ時は母親も妹も泣きじゃくっていた。
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それから二ヶ月ほど経ち、まだ元の生活には戻れていないけど、みんな多少は落ち着いて来た。
俺はふと、父親が母親にどんなメールを送っていたのか気になった。
それでタンスの引き出しに閉まってあった、今年の8月まで母親が使っていた携帯を手に取り、父親のメールを見た。
メールの内容は、恥ずかしがり屋な父親らしく、
「めしはいるか」
「いつもの時間に帰る」
「どこにいる」
など、『?』も付いていない凄く素っ気ないものだったので笑ってしまった。
※
どれも同じ内容ばかりだなと思いながら読んでいると、メール一覧の一番下に、保護メールが一件だけあるのに気が付いた。
それは去年か一昨年の、8月3日に父親から届いたメールだった。
「今日も、一日がんばれ」
ただそれだけのメールだったし、8月3日がもう何の日だったかは覚えていない。
でも、その短い文章には照れ屋な父親の優しさが物凄く現れていた。
そしてそれを貰って凄く嬉しかったのか、そのメールを保護してある母親のことも考えたら、胸が熱くなって思わず泣いてしまった。