嫌いだと言い続けた
俺は母親が嫌いだ。 大嫌いだ。 おせっかいなところが嫌いだ。 何よりも、子どもを一番に考えるところが嫌いだ。 大学に入って一人暮らしを始めて、もう二年も経つのに…
思い切り泣きたいとき、この場所へ来てください。大切な人を失ったこと、届かなかった気持ち、間に合わなかった言葉——悲しい話には、悲しいからこそ伝わる本当のことが詰まっています。号泣できる実話風短編を集めました。
俺は母親が嫌いだ。 大嫌いだ。 おせっかいなところが嫌いだ。 何よりも、子どもを一番に考えるところが嫌いだ。 大学に入って一人暮らしを始めて、もう二年も経つのに…
その夜は、付き合って三年目の記念日でした。 彼は手料理を用意して、私の帰りを待っていてくれました。 ※ けれど私は、仕事が長引いてしまい、約束の時間に帰れません…
こんにちは。 11年後の君です。 儲け話も、これから出会う誰かの名前も、今は教えません。 代わりに、もっと大事なことだけを渡します。 ※ 明日、弟が亡くなります…
彼女とは、バイト先で出会った。 年上の彼女は、入った時からどこか気になる存在だった。 「付き合ってる人は居ないの?」 「居ないよ…彼氏は欲しいんだけど」 「じゃ…
第二次大戦が終わり、私は日本の兵士たちの帰国事務に携わっていました。 毎日、留守家族の人々が次々と訪ねてきます。私は机越しに、「ご主人は亡くなられました」「息子…
指輪の内側には、サイズの数字のほかに細かい傷が一列だけついていました。二十歳の春に不妊と告げられた私に、作業着のまま駆けつけた彼が差し出した小さな箱。一年後に本…
結婚当初、私は姑とどうも噛み合わず、会うたびに気疲れしていました。 意地悪されることはありませんでしたが、気さくでよく笑う実母と違い、姑は長年看護士として働いて…
あれは、私の隣の席に座っていた男性が、突然亡くなった日のことでした。 金曜日の夜、お酒を飲んだ帰り道。 電車の中で気分が悪くなり、途中下車した駅のベンチに腰をか…
中学時代、俺は目の前で幼馴染の親友を事故で失った。 あまりに突然で、あまりに現実離れしていて、受け止めることができなかった。 その日から俺の心は壊れ、少しずつ狂…
私が高校生の冬のことです。 家で飼っていた猫が、赤ちゃんを産みました。 しかも、よりによって私の布団の上。電気毛布のぬくもりに包まれて、5匹の小さな命が生まれま…
母は毎年、梅雨が明けると麦茶を製氷皿で凍らせていた。薄まらんように、と。脳の病で手が震えるようになっても、その習慣だけはやめなかった。私はある朝、その製氷皿を落…
俺の爺さんは、戦争中に戦地で足を撃たれた。 撤退命令が響き渡り、仲間たちは必死に撤退していったが、爺さんは立ち上がることさえできなかった。 血で濡れた土の匂いと…
インドの砂漠地帯で、私は傭兵としてパキスタン軍と対峙していた。 敵味方の区別もつかぬほどの荒涼とした景色の中、銃声が飛び交い、朝も昼もなく砲弾が夜空を裂いていた…
戦時中の沖縄でのことです。 当時12歳だった叔父は、自然の洞穴を利用した「壕」に身を潜めていました。 そこには、同じように避難していた住民たちと、部隊からはぐれ…
俺は、これまでの人生で三度だけ、神様にすがったことがある。 ※ 最初は、七歳のとき。 両親が離婚し、俺は父方の祖父母に預けられた。 祖父母はとても厳しく、愛情と…