カテゴリー: 悲しい話

思い切り泣きたいとき、この場所へ来てください。大切な人を失ったこと、届かなかった気持ち、間に合わなかった言葉——悲しい話には、悲しいからこそ伝わる本当のことが詰まっています。号泣できる実話風短編を集めました。

嫌いだと言い続けた

俺は母親が嫌いだ。 大嫌いだ。 おせっかいなところが嫌いだ。 何よりも、子どもを一番に考えるところが嫌いだ。 大学に入って一人暮らしを始めて、もう二年も経つのに…

10分後の別れ

その夜は、付き合って三年目の記念日でした。 彼は手料理を用意して、私の帰りを待っていてくれました。 ※ けれど私は、仕事が長引いてしまい、約束の時間に帰れません…

作業着のポケットの底

指輪の内側には、サイズの数字のほかに細かい傷が一列だけついていました。二十歳の春に不妊と告げられた私に、作業着のまま駆けつけた彼が差し出した小さな箱。一年後に本…

兄の涙と抱擁

中学時代、俺は目の前で幼馴染の親友を事故で失った。 あまりに突然で、あまりに現実離れしていて、受け止めることができなかった。 その日から俺の心は壊れ、少しずつ狂…

猫のゆめと過ごした日々

私が高校生の冬のことです。 家で飼っていた猫が、赤ちゃんを産みました。 しかも、よりによって私の布団の上。電気毛布のぬくもりに包まれて、5匹の小さな命が生まれま…

麦茶の氷が鳴らなくなった夏

母は毎年、梅雨が明けると麦茶を製氷皿で凍らせていた。薄まらんように、と。脳の病で手が震えるようになっても、その習慣だけはやめなかった。私はある朝、その製氷皿を落…

戦火を止めた日本の歌声

インドの砂漠地帯で、私は傭兵としてパキスタン軍と対峙していた。 敵味方の区別もつかぬほどの荒涼とした景色の中、銃声が飛び交い、朝も昼もなく砲弾が夜空を裂いていた…

太陽を見てから

戦時中の沖縄でのことです。 当時12歳だった叔父は、自然の洞穴を利用した「壕」に身を潜めていました。 そこには、同じように避難していた住民たちと、部隊からはぐれ…

三度、月に祈った夜

俺は、これまでの人生で三度だけ、神様にすがったことがある。 ※ 最初は、七歳のとき。 両親が離婚し、俺は父方の祖父母に預けられた。 祖父母はとても厳しく、愛情と…