左足の甲に顎をのせて待つ犬
盲導犬になる仔犬を預かった一年間、ミントは靴を履く私の左足の甲に顎をのせた。直すよう言われても直らず、手放す日まで謝り続けた。ほんの少しの重みが誰かの歩く道を守…
犬との暮らしは、言葉がなくても伝わるものに満ちています。一緒に走った日々、年を取っていく姿、お別れのこと——犬にまつわる泣ける話を集めました。
盲導犬になる仔犬を預かった一年間、ミントは靴を履く私の左足の甲に顎をのせた。直すよう言われても直らず、手放す日まで謝り続けた。ほんの少しの重みが誰かの歩く道を守…
毎週水曜の十時四十分、介護タクシーの後部座席の犬は、病院の四階の窓に向かって一度だけ鳴いた。窓から出てくる白い袖をご主人のものだと思い込んでいた私は、その窓の本…
犬の散歩の記録が届き続け、猫の銀の鈴が鳴り、九官鳥がおかえりと繰り返す。ペットの泣ける話を11本選び、犬・猫・鳥と山羊の順に案内します。別れのあとも寄り添う小さ…
契約が切れた週の土曜、譲渡会で最後まで残っていた犬を連れ帰った。毎朝の散歩は、なぜか三丁目の二階の窓の下で止まってしまう。カーテンが十センチ動くたびに、犬はすっ…
夜になると、フクは玄関で一度だけ短く鳴いて出かけていった。前脚の内側を灰色に汚して、朝には帰っている。夜だけ出かける犬の行き先を、私は薄々知っていて、確かめには…
夜行バスの中でスマホが光った。『クウの散歩を記録しました 2.4キロ 38分』。もう歩けるはずのない犬の記録が、なぜ今日も届き続けるのか。確かめるためだけに引き…
平成元年の秋、十八で家業の大工を継いだ私が拾った仔犬シゲは、父の道具袋の上で十七年を静かに眠り続けた。私の出産入院中に旅立った愛犬の傍らで見つけた、不器用な父が…
妻を亡くして五年、老犬ハナと二人で暮らしてきた獣医のもとに、疎遠だった娘と孫が夏休みを過ごしに帰ってきた。ハナの最期と、孫娘の絵日記の最後のページが、沈黙の家族…
14年間毎日歩いた桜並木。歩けなくなった愛犬を抱きかかえた、最後の春の散歩…
消防署の帰り道で拾った老犬。古い首輪が示す、その犬の人生と、自分の人生が重なる瞬間。保護犬から教わった、救いと再出発の意味を描く感動の短編。…
ギプスで固めた右腕のせいで空いた右肩の隙間を、拾った黒猫のクロは自分の居場所に決めました。見送ったあとも、ふとんの隙間を空けて眠る飼い主が、旅立った猫へ宛てた手…
もう数年前のことになります。 私が小学5年生の時、我が家に一匹のラブラドールがやってきました。 母がその子に名付けた名前は「サーブ」。 大きな瞳でこちらをじっと…
1. 私の一生は、せいぜい10年から15年ほどしかありません。 その短い生涯の中で、ほんの少しでもあなたと離れることは、とても寂しく、胸が張り裂けそうになります…
昔、我が家では一匹の犬を飼っていた。 名前はナオ。 ナオは、ご近所の家で生まれた子犬だった。 その子犬を、うちの妹が、誰にも相談せずに勝手に連れて帰ってきたのが…
浜松の佐鳴湖のそばで飼われていた柴犬のきなこ。友人の彩は中学二年の秋から、真夏でも右の袖だけを下ろすようになりました。十年後、きなこが亡くなった晩に見せてもらっ…