カテゴリー: 友情

友達のことを、大人になってから改めて思い出すことがあります。一緒に笑ったこと、支えてもらったこと、気づかずに傷つけてしまったこと。友情にまつわる感動する話——友達のありがたさを改めて感じさせてくれる短編をまとめました。

彼は私の名前を履いていた

昭和三十六年、堤防工事の飯場から転校してきた幼なじみに、私は兄のお下がりの運動靴を貸しました。学級費が消えた日、私は教室で黙りました。四十年後、同じ堤防の改修工…

転校生の父が歌い出した日

北関東の工業団地の町に転校してきた、日本語のたどたどしい同級生。わたしは一度だけ、彼を見捨てた。合唱コンクールの日、耳の聞こえないはずの彼の父が客席で立ち上がり…

峠の地蔵と金平糖の朝

霧の朝、峠の茶屋へ金平糖を提げて上ってくるおばあさん。母を見送ったばかりの娘は、湯を沸かして待つうちに、ハルさんが五十年欠かさず通った峠の地蔵の理由を知ります。…

黄楊の王将

三十年、引き出しの奥にしまい続けた黄楊の王将。親友との別れを恐れ、約束を捨てて故郷を離れた男が、危篤の報せに、幼馴染の彫った駒を手に三十年ぶりに帰郷する。盤の上…

蛍さんのお手玉と雪の谷

湯を落とす日の朝、湯守の捨松は桐の小箱から赤いお手玉を見つけた。四十年前の雪の冬、片足を引きずって谷を登ってきた蛍さんが教えてくれた遊びと、北向きの部屋の柱に残…

朝霧をわたる舟の灯り

心に灯る感動の泣ける話。行くあてをなくした娘を拾ったのは、霧深い湖の老いた渡し守だった。夜明けごとに舟提灯を灯し、湖をわたり続けた爺さま。その灯りがある限り、人…

八重が巻いていた時計

結婚して港町へ嫁いだわたしは、年に一度の盆だけ、幼なじみの八重が営む時計店に腕時計を預けに帰った。「少し遅れるんよ」という小さな嘘。八重が遺した修理伝票の控えに…