母は白いままの台紙を数えている
実家のアルバムは中学二年の夏で写真が途切れ、そこから先は白いままの台紙だった。二十三の私を写真館に連れて行き、赤に黒の振袖を撮らせた母が「私の宝物」と呼んだもの…
家族のことを書いた話は、どれも胸に刺さります。当たり前すぎて気づかなかった愛情、不器用すぎて伝わらなかった気持ち、もう会えない人のことを思い出す瞬間。父、母、子供、祖父母——家族にまつわる感動する話をお届けします。
実家のアルバムは中学二年の夏で写真が途切れ、そこから先は白いままの台紙だった。二十三の私を写真館に連れて行き、赤に黒の振袖を撮らせた母が「私の宝物」と呼んだもの…
なあなあ、おかんよ。 中学の時に不登校になり、夜間高校に入るも家に帰って来ず、毎日心配させてごめんよ。 二十歳を超えてからも、彼氏を作り勝手に同棲して、ろくに連…
19歳の頃、癌で入院中のお母さんに、泊り込みで付き添っていた。 その頃、私は予備校に行っていた。 お母さんが 「看護婦さんになって欲しい」 と言ったから、一つく…
数年前に、実家の一家の大黒柱である父が倒れた。 脳梗塞で、一命は取り留めたものの麻痺が残ってしまった。 母は親戚(成年後見人)に上手いことを言われて離婚させられ…
母の家の三和土には、誰も履かない小さなサンダルが、いつも同じ角度で揃えて置いてあった。妹のお古だと、俺はずっと思っていた。彼女の親に別れさせられた秋、母は泣きな…
県外への進学を、父だけが最後まで大反対しました。理由は一度も言ってくれません。勝手に決めて出て行った娘が、父の車のダッシュボードから折りたたんだ地図を見つけたの…
その日は約束の時間ぎりぎりに、舞浜駅のホームから階段を降りた。 雑踏の中には元妻と、ミニリュックを背負った小学3年生の息子が待っていた。 半年ほど見ない間に一回…
私の両親は私が小さい頃に離婚し、私はずっとお父さんと生きて来た。 お母さんとお父さん。 どっちに行こうか迷っていた時、お父さんは 「ここに残りなよ」 と言ってく…
一昨年、ばあちゃんが死んだ。 最後に会ったのは、俺が中学生の時だったかな。 葬式の為に20年越しで、ばあちゃんの住んでいた田舎に行った。 次の日、遺品の整理をす…
事故で恋人を失い、右脚も失った彼女は、ある朝、彼がいちばん好きだった紺のワンピースで駅へ向かった。券売機の前で落とした百円玉を拾ったのは、見覚えのない年配の男性…
諫早から松戸まで訪ねてきた母は、三日のあいだ一度も私のポケベルを鳴らしませんでした。使い方を知らないのだと、私は十五年ものあいだ思い込んでいたのです。冷蔵庫に残…
母が送ってくる青さのりの袋の口には、毎年ちがう本数の輪ゴムが巻いてありました。四万十の冬の川に一人で立ち続けた母と、大阪で働き続けてきた息子。あと何日会えるのか…
今年の6月に母が亡くなった。火事だった。 同居していた父親は外出していて、弟は無事に逃げる事が出来たのだけど、母親は煙に巻かれて既に駄目だった。 自分は違う地方…
今日、俺は珍しく母ちゃんを外食に誘った。 行き先は、昔からよく行く馴染みのラーメン屋だった。 俺は味噌ラーメンの大盛り、母ちゃんは味噌ラーメンの並盛りを頼んだ。…
私の家族は、父、母、私、弟の四人家族。 弟がまだ六歳の時の話。 弟と私は十二才も歳が離れている。凄く可愛い弟。 だけど私は遊び盛りだったし、家に居れば父と母の取…