ばあちゃんの真空管
認知症で僕の名前を忘れた祖母。それでも深夜のAMラジオから僕の声が流れた瞬間、彼女は『ホタくん、また喋ってる』と呟いた──真空管ラジオが繋いだ最後の言葉を綴る、…
認知症で僕の名前を忘れた祖母。それでも深夜のAMラジオから僕の声が流れた瞬間、彼女は『ホタくん、また喋ってる』と呟いた──真空管ラジオが繋いだ最後の言葉を綴る、…
認知症で孫の名前も忘れた祖父。ボランティアで髪を切る孫の手に、祖父の指が重なり正しいハサミの角度を教えた。六十年の技が体に刻まれていた、理容師の祖父と孫の物語。…
薬剤師になった孫を認めなかった港町の祖父が、認知症になってから針と糸で縫い込んだ藍色のお守り。切れた紐から落ちた一枚の紙に、七年越しの「ゆるしてくれ」が書かれて…
若年性の認知症になった恋人に、渡せずにいたエメラルドの指輪。一年後、北陸の海辺で再会した二人の二時間と、彼女が呟いた世界一遠くて近い場所という言葉の意味を、静か…
海沿いの小さな町で、お針子の祖母にひとり育てられた私の物語です。祖母が夜なべして縫ってくれたお手玉、誰にも言えなかったいじめ、そして物忘れの果てに電話越しで交わ…
古いピアノの調律をきっかけに結ばれた二人。けれど彼女は、若くして記憶を失っていきます。渡せなかったアクアマリンの指輪を手に、彼は遠い海辺の町へ彼女を訪ねました。…
秋田の角館で樺細工の見習いをしている俺を、認知症のばあちゃんは毎朝、郵便屋だと思って丁寧に頭を下げます。座布団の下の小さな箱と、幼い日に送った一枚の絵はがき、そ…