兵隊になれなかった夫
兵隊になれなかった夫は、戦時中の豆腐屋を私と二人で営みながら、町の人に蔑まれても、夜ごと腹を空かせた子らに、欠けた椀で一杯の豆腐をよそい続けた。それから数十年、…
兵隊になれなかった夫は、戦時中の豆腐屋を私と二人で営みながら、町の人に蔑まれても、夜ごと腹を空かせた子らに、欠けた椀で一杯の豆腐をよそい続けた。それから数十年、…
弟との約束は、いつか私が迎えに行くこと。戦時中、出征する弟に一本の麦笛を持たせた姉。けれど遺された手帳に綴られた、たった一行で、私はようやく気づく。暗がりが怖い…
戦時中、町役場に勤める祖父は毎晩ひと粒の大豆を空の袋へ移していた。これは祖父の思い出をたどる泣ける短編小説です。孫と過ごした一日を宝として数え続けた祖父が、ある…
祖母は六十年、毎朝仏壇に向かって貴様と呼びかけていました。悪態だと思っていたその一語の意味が、北満の守備隊にいた祖父の残した一枚の薬包紙と最後の軍事郵便で反転し…
南の島の古い桟橋で、日本の歌を口ずさむ老人と出会った。太平洋戦争のさなか、共に陣地を築いた島の若者たちが、日本兵の隊長から浴びせられた一言の暴言。裏切られた——…