二十年先の材に引いた線
雨の降りだした駐車場で、二台の車から同時に送り合った二通のメール。余命の告白と妊娠の報告は、なぜか一行目だけが同じでした。和歌山・新宮の製材所で三代にわたって引…
雨の降りだした駐車場で、二台の車から同時に送り合った二通のメール。余命の告白と妊娠の報告は、なぜか一行目だけが同じでした。和歌山・新宮の製材所で三代にわたって引…
生花店で出会った五つ年上の彼女は、胸の手術の傷をひそかに隠して、私を遠ざけ続けました。書けなかった婚姻届と、押し花の勿忘草に託された最後の手紙。忘れてほしいと願…
別れ際にひどい言葉を残して去った彼が遺したのは、上映日誌のかたちをした一冊の日記でした。名画座の映写技師見習いだった彼が、消えゆく時間にひそかに綴った私への想い…
雪の降る港町で、人生のどん底のまま海へ向かった洋裁職人の私を救ってくれたのは、道に迷った夜のパン屋・湊さんでした。焼きたてのパンから始まった出会いと、十年の静か…
余命三ヶ月を告げられた女性が、高校時代の恩師と過ごした夜明けの湖。手首を結わえて二人で漕いだ小舟の上で交わした静かな約束を描く泣ける話です。命があるということの…