これで仲直りしよう

お味噌汁(フリー写真)

昨日の朝、女房と喧嘩した。と言うか酷いことをした。

原因は、夜更かしして寝不足だった俺の寝起き悪さのせいだった。

「仕事行くの嫌だよな」

と呟く俺。

そこで女房が何を言っても俺は切れただろう。前例もあったし。

あいつもそれをよく知っているから、何も言わなかった。

それも解っていたけど、何だか馬鹿にされているような気もして、八つ当たりしてしまった。

凄く美味そうだったのに、折角あいつが作ってくれた味噌汁もおかずも、全部ぶちまけて暴言を吐いてしまった。

あいつは泣きながら、鍋に残った味噌汁を流しに捨てていた。

物凄く後悔したけど、用意してあった弁当も持たず、虚勢を張ったまま謝りもしないで、俺はそのまま会社に出掛けてしまった。

夜になって、気まずい思いを抱きながら帰宅した。

もしかしたら女房は実家に帰っているかもしれないと、内心不安だった。

しかし部屋の明かりは灯っている。しかも何やら良い匂いもする。

思い切ってドアを開けると、女房は俺の好物のビーフシチューの鍋を抱えて出迎えてくれた。

「これで仲直りしよう」

と笑顔で。

俺の方こそ、朝のお詫びに気の利いた土産の一つや二つ買って来るべきだったのに。

もう自分の勝手で女房に八つ当たりをしないと心に誓った。

本当はあの味噌汁食いたかったんだ。俺は。

関連記事

目玉焼き(フリー写真)

彼女とフライパン

一人暮らしを始める時、意気込んでフライパンを買った。 ブランドには疎いが、とにかく28センチの物を一本。 それまで料理なんて全くしなかったのだが、一人暮らしだから自分で作る…

花と手紙(フリー写真)

彼女が遺した手紙

私(晃彦)には幼稚園から連れ添ってきた恋人(美咲)がいる。 私が高校を卒業し、就職してからも同居し、貧乏ながらも支えてくれた掛け替えのない存在。 プロポーズの決心をしてから…

教室(フリー写真)

虐めから守ってくれた兄

中学生の頃、学校で虐めに遭っていた。 教室に入る勇気が無く、いつも保険室に通っていた。 虐めの事は家族にも言っていない。 ただ私の我儘で保険室に通っているだけ。そんな…

電話機

電話越しの陽だまり

結構前、家の固定電話が鳴った。 『固定電話にかけてくるなんて、誰だろう?』と思いつつ、電話に出ると、若い男の声がした。 「もしもし? 俺だけど、母さん?」 すぐにオ…

ベトナムの夕日(フリー写真)

あの子は僕の友達なんです

ベトナムの村にある宣教師たちの運営する孤児院が、爆撃を受けてしまいました。 宣教師達と二人の子供達が即死し、その他の者も重傷を負いました。 重傷になった者達の中でも、8才の…

猫(フリー写真)

会いに来てくれた猫

五年前に飼っていた茶トラ猫。 当時、姉が家出同然で出て行ってしまい、家の雰囲気が暗かったのを憶えています。 そんなこともあり、私は家では出来るだけ明るく振る舞っていましたが…

山からの眺め(フリー写真)

命があるということ

普通に生きて来ただけなのに、いつの間にか取り返しのつかないガンになっていた。 先月の26日に、あと三ヶ月くらいしか生きられないと言われた。 今は無理を言って退院し、色々な人…

結婚指輪(フリー写真)

ずっと笑っていてね

去年の夏、彼女が逝きました。 ある日、体調が優れないので病院へ。 検査の結果、癌。 余命半年と診断されました。 最期まで「もっと生きたい」「死にたくない」とは言…

犬(フリー写真)

愛犬が繋いだ絆

11年間、飼っていた愛犬が亡くなった。 死ぬ前の半年間、自分はろくに家に帰らず、世話も殆どしなかった。 その間にどんどん衰えて行っていたのに、あまり見ることも触ることもなく…

母に渡す花(フリー写真)

お母さんの看病がしたいよ

19歳の頃、癌で入院中のお母さんに、泊り込みで付き添っていた。 その頃、私は予備校に行っていた。 お母さんが 「看護婦さんになって欲しい」 と言ったから、一つく…