妻が拾った4380の音
新聞配達25年、誰にも見られない仕事だと思っていた。亡き妻が毎朝海岸で原付の音を聴き、一日一個の貝殻を拾い続けていたことを、漬物樽の中に残された四千の貝殻と犬へ…
新聞配達25年、誰にも見られない仕事だと思っていた。亡き妻が毎朝海岸で原付の音を聴き、一日一個の貝殻を拾い続けていたことを、漬物樽の中に残された四千の貝殻と犬へ…
師走の命日の朝、老陶芸家は窯の余熱の前で震える子猫を見つけた。亡き妻の形見の浅鉢に水を入れてやりながら、その名を「備前」と呼んだ。小さな命が運んできた、日常の温…
14年間毎日歩いた桜並木。歩けなくなった愛犬を抱きかかえた、最後の春の散歩…
定年になったら一緒にいてやる。そう思い続けた十五年間、猫のチビはずっと玄関で帰りを待っていた。でも、私が戻ったとき、チビはもうそこにいなかった。…