彼女は耳を切るなと書いた
四十年前に私を無視した同級生が、二十年ものあいだ匿名で私の漉いた和紙を頼み続けていた。備考欄にはいつも同じ一行だけ。切り落とされる紙の耳こそが破れた本を継ぐ材料…
四十年前に私を無視した同級生が、二十年ものあいだ匿名で私の漉いた和紙を頼み続けていた。備考欄にはいつも同じ一行だけ。切り落とされる紙の耳こそが破れた本を継ぐ材料…
離島の漁師だった父が遺した古い携帯電話。発信履歴に並ぶ息子の名前と、たった一言の録音メッセージが、不器用な父の愛を静かに語りかける。…
秋田・大館の曲げわっぱ工房で、妻は樺縫いの最後のひと針だけを、毎晩かならず翌朝へ残していました。妻を失った冬、四つになる娘の一言と、老いた職人の静かな証言が、そ…