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妻が遺した裁縫箱

妻を喪って三年、納戸にしまった漁師着の袖口のほつれが消えていました。誰が繕ったのか。妻が遺した裁縫箱の二重底に眠る五十年前の手紙が、無口な元漁師と隣家の若い妻、…

兄の魚拓帳

十一年口をきかなかった弟が、兄の魚拓帳をめくると、毎年の余白に「静夫、来ず」と書かれていた。十一年分の四文字は、責める言葉ではなく招く言葉だったと知るまでの、道…