公衆電話の列でいつも順番を譲る人
避難所の体育館に伸びた公衆電話の列。その一番うしろには、夕方だけ先頭へ割り込み、受話器を耳に当てても一言も話さない橋本さんがいた。僕はその声を、奥さんのものだと…
避難所の体育館に伸びた公衆電話の列。その一番うしろには、夕方だけ先頭へ割り込み、受話器を耳に当てても一言も話さない橋本さんがいた。僕はその声を、奥さんのものだと…
顔合わせの席で、継母が婚約者の祖母と土佐の言葉で笑い合った。少し高くて語尾の跳ねる、私の知らない声だった。12歳の春に「この家で、そのしゃべり方しないで」と言っ…