光にかざすと姉の名が出た
三つだった姪を自分の娘として育てた紙漉きの女の泣ける話。毎年一枚だけ漉いた売らない透かし紙が、三十年後に娘の手から返ってくる。十月十九日にだけ名を呼ばれなかった…
三つだった姪を自分の娘として育てた紙漉きの女の泣ける話。毎年一枚だけ漉いた売らない透かし紙が、三十年後に娘の手から返ってくる。十月十九日にだけ名を呼ばれなかった…
四十年前に私を無視した同級生が、二十年ものあいだ匿名で私の漉いた和紙を頼み続けていた。備考欄にはいつも同じ一行だけ。切り落とされる紙の耳こそが破れた本を継ぐ材料…
昭和三十年代の四国、紙を漉く町。何をやっても指の跡が残る少年が、旅の紙芝居屋に差し出した一枚の金魚の絵。燃やさずに渡した震える手が、四十年後、思いがけない場所で…