夫の茶碗
夫が死んで三年。和菓子屋を一人で守り続けてきた私が、ある朝ずっと使えずにいた夫の茶碗を手に取ると、底に小さな文字が刻まれていた。…
夫が死んで三年。和菓子屋を一人で守り続けてきた私が、ある朝ずっと使えずにいた夫の茶碗を手に取ると、底に小さな文字が刻まれていた。…
四歳の姉が祖父の削った描き炭十二本を全部折った理由は、二歳の妹と交わした半分この約束でした。能登・珠洲の揚げ浜塩田を舞台に、十二本のうち一本だけに彫られていた浅…
地震で水道が止まった能登の坂道。豆腐屋の店先に伸びた列で、三度並んで三度とも順番を譲った彫り物の男は、湯気にだけ礼を言って去りました。誰も名前を知らないその人が…