兄の口笛と踵だけ減った靴
兄の口笛を、わたしは四十年間ずっと憎んでいた。石灰の白い町で右脚を失った妹と、一度も手を貸してくれなかった兄。踵の外側だけが減った靴が明かす、半歩先を歩き続けた…
兄の口笛を、わたしは四十年間ずっと憎んでいた。石灰の白い町で右脚を失った妹と、一度も手を貸してくれなかった兄。踵の外側だけが減った靴が明かす、半歩先を歩き続けた…
二十五年前、松葉杖の同級生に「邪魔くさい」と言ってしまった義肢装具士。赴任先の飛騨高山で、担当患者としてその名を見つけます。春子の母から渡された菊の手ぬぐいは、…
福井・敦賀の坂の上の施設で育った私に、修司さんは指輪を買う約束をしてくれました。二月の交差点で失ったもの、二年後の敦賀駅で拾ってもらった小銭、そして事故の記録の…