不格好な湯呑みと最後の壁
湖の対岸の料亭で最後の壁を塗り終えた日、女将から「奥さんが三年前にいらした」と聞かされました。座敷の北の角だけ、土の色が濃い。その夜、三十年毎朝使ってきた不格好…
湖の対岸の料亭で最後の壁を塗り終えた日、女将から「奥さんが三年前にいらした」と聞かされました。座敷の北の角だけ、土の色が濃い。その夜、三十年毎朝使ってきた不格好…
指輪の内側には、サイズの数字のほかに細かい傷が一列だけついていました。二十歳の春に不妊と告げられた私に、作業着のまま駆けつけた彼が差し出した小さな箱。一年後に本…