妻が拾った4380の音
新聞配達25年、誰にも見られない仕事だと思っていた。亡き妻が毎朝海岸で原付の音を聴き、一日一個の貝殻を拾い続けていたことを、漬物樽の中に残された四千の貝殻と犬へ…
新聞配達25年、誰にも見られない仕事だと思っていた。亡き妻が毎朝海岸で原付の音を聴き、一日一個の貝殻を拾い続けていたことを、漬物樽の中に残された四千の貝殻と犬へ…
妻を喪って三年。納戸から取り出した漁師着のほつれが、消えていた。誰が繕ったのか──桐の裁縫箱の二重底に眠っていた、五十年前の手紙が真実を告げる。夫婦の絆と隣人の…
大分・長湯温泉の朝、四十年前の琺瑯の弁当箱を開けると、底に色褪せた付箋が一枚だけ残っていました。包みの結び目がいつも左に寄っていた理由、妻が四十年切らさなかった…
葬儀の朝、腰まであった娘の髪が肩より上で切られていました。お洒落なママとのお別れやもん、と娘は言います。棺に添えられた細い髪の束の意味を、私は七年のあいだ思い違…
妻を見送って七ヶ月、四歳の誕生日を境に娘がぱったり泣かなくなりました。ばあばと約束したと言いますが、義母は知らないと言います。風呂の湯を足す音の意味に父が気づく…