とおしゃんと呼ばれた日
山形・天童で将棋駒を彫る父が、三歳半の息子に初めて「とおしゃん」と呼ばれた朝の話です。妻は入院中の毎晩、おなかの子に三文字だけを教え、七年かけて二十三枚の歩兵を…
山形・天童で将棋駒を彫る父が、三歳半の息子に初めて「とおしゃん」と呼ばれた朝の話です。妻は入院中の毎晩、おなかの子に三文字だけを教え、七年かけて二十三枚の歩兵を…
母子家庭に育った私に野球を教えてくれたのは、四つ上の兄でした。投げる前に必ずカーブと一声かけていた本当の理由を、通夜の晩に初めて知ります。天童の駒師になった兄が…
山形の将棋駒工房で、脳に障害のある兄は三十年ただ歩だけを彫り続けました。父の帳面に残された一行の日付と、裏の字だけが深く彫られた三千枚の駒。守っているつもりで、…