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母の弁当箱

毎朝四時に台所へ置かれる母の弁当箱。東京の外れの古い団地で母とふたり暮らしをする配達員が、風邪で弁当箱が消えた朝に二十四年分の重さへ気づき、焦げた玉子焼きと湯呑…

一枚の敷石だけ乾いている

二十年前の雨の夜、団地の公園で八時間立ち続けた少年がいました。靴の先は、ほかより一枚だけ低い敷石にきっちり収まっていたのです。二十年後に同じ場所へ行くと、その一…

彼女の愛と意志

親父が借金を残して姿を消した秋、俺は別居していた母と団地で暮らし始めた。限界で彼女に当たった夜、彼女の愛は怒りで返さず、財布に残る十枚の百円玉と、十五の春の秘密…