鏡のない部屋とカレンダーの凹み
訪問理容師のわたしが十年通った丘の団地の一室。桐生さんの注文はいつも耳の上二分だけで、部屋には鏡がなかった。切り終えるたび指でカレンダーを押す仕草の意味を、わた…
訪問理容師のわたしが十年通った丘の団地の一室。桐生さんの注文はいつも耳の上二分だけで、部屋には鏡がなかった。切り終えるたび指でカレンダーを押す仕草の意味を、わた…
毎朝四時、台所に置かれた弁当箱。団地で母とふたり暮らしの配達員が、二十四年間当たり前だと思っていたものの重さに気づいた朝の物語。…
タクシー運転手の息子が母の団地で見つけた千を超える折り鶴。翼の裏に書かれた一行の日記が、忙しさを言い訳に疎遠にしていた日々を静かに照らす。母の愛に涙する感動の物…