悲しい話

もう一度、あの笑顔に会いたくて

私の前の上司、課長は無口で無表情な人でした。 雑談には加わらず、お酒も飲まない。人付き合いを避ける、どこまでも堅物な方でした。 そのぶん、誠実で公平。どんな…

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娘になった君へ

俺が結婚したのは、20歳のときだった。 相手は1歳年上の妻。学生結婚だった。 二人とも貧乏で、先の見えない毎日だったけれど、それでも毎日が幸せだった。 ※ …

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失ってもなお、愛している

| 夫婦 | 子供 | 家族 | 悲しい話

家内を亡くしました。 お腹には、二人目の子どもがいました。 その日、彼女は病院へ向かうため、タクシーに乗っていました。けれど途中で、居眠り運転のトラックと正…

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桂川にて — 最後の親孝行

| 家族 | 悲しい話 |

2006年2月1日、京都市伏見区・桂川の河川敷で、一組の母子が静かに“終わり”を迎えようとしていました。 事件として報じられたのは、無職の片桐康晴被告が、認…

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生まれて来てくれてありがとう

| 子供 | 家族 | 悲しい話

「出て行け」と親に言われ、家を飛び出してから6年が経った。 あのときの怒鳴り声と、自分の怒りは今でも耳に残っている。 家を出てから3年が経った頃、ひとりの女…

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最後のお弁当

| 家族 | 悲しい話 |

私の母は、昔から体が弱かった。 それが原因なのか、母が作ってくれるお弁当は、いつも質素で、見た目も決してきれいとは言えなかった。 カラフルなピックやキャラ弁…

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生かされた命

| 悲しい話 | 戦時中の話

祖父がかつて満州に渡っていたことは、家族の誰もが知っていた。けれど、終戦後にシベリア行きが決まり、仲間とともに逃亡を図ったことまでは、私たちは知らなかった。…

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たった1.5メートルの後悔

あの日、私は二十一歳。倫子と私は、ほんの些細なことで喧嘩をしてしまいました。 明らかに私に非があったのに、素直になれず、謝ることもできないまま夜を迎えました…

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君たちがいた家

| 家族 | 悲しい話

嫁と娘が、ひと月前に亡くなった。 交通事故だった。車は大破。単独事故だったらしい。 その知らせを受けたのは、出張先の根室にいたときだった。 何とかして帰ろう…

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届かなかったごめん

| 恋愛 | 悲しい話

あの日、俺は彼女と、ほんの些細なことでケンカをしていた。 原因は覚えていないほどの小さなことだったけれど、お互いに意地を張り、言葉が冷たくなっていった。 険…

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約束の土曜日

3歳の頃から、毎日のように遊んでくれたお兄ちゃんがいた。一つ年上で、勉強もスポーツもできて、とにかく優しい。 一人っ子の僕にとって、彼はまるで本物の兄のよう…

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小さなおにぎり

| 友情 | 悲しい話

今から20年以上も前のこと。当時の私は、オンボロアパートで一人暮らしをしていました。 給料は安く、貯金もなくて、贅沢なんて夢のまた夢。それでも「無いなら無い…

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届かぬ想い

関係を迫ると、「あなたは紳士じゃない」と言われた。 けれど、関係を迫らなければ、「あなたは男じゃない」と責められた。 何度も君の部屋を訪ねると、「もっと一人…

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彼女が遺した約束

| 恋愛 | 悲しい話

大学時代、私たちの仲間内に、1年生の頃から付き合っていたカップルがいました。 二人はとても仲が良く、でも決して二人だけの世界に閉じこもることなく、みんなと自…

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