フクは夜だけ出かけていく
夜になると、フクは玄関で一度だけ短く鳴いて出かけていった。前脚の内側を灰色に汚して、朝には帰っている。夜だけ出かける犬の行き先を、私は薄々知っていて、確かめには…
夜になると、フクは玄関で一度だけ短く鳴いて出かけていった。前脚の内側を灰色に汚して、朝には帰っている。夜だけ出かける犬の行き先を、私は薄々知っていて、確かめには…
妻を亡くして五年、老犬ハナと二人で暮らしてきた獣医のもとに、疎遠だった娘と孫が夏休みを過ごしに帰ってきた。ハナの最期と、孫娘の絵日記の最後のページが、沈黙の家族…
二十二歳の老犬を連れて動物病院へ通う大谷さんは、診察のたびに首輪を外して自分の手首に巻く人でした。小雨の夕方にタクシーを断り、歩いて帰ったその背中の意味を、私は…