父が渡した十二年分の通帳
富山・高岡の銅器着色師だった父は、給料日の晩だけ湯呑みに酒を注ぎ、それを飲まずに置く人でした。結婚の報告に帰った日、ぶっきらぼうに差し出された通帳の入金欄は、十…
富山・高岡の銅器着色師だった父は、給料日の晩だけ湯呑みに酒を注ぎ、それを飲まずに置く人でした。結婚の報告に帰った日、ぶっきらぼうに差し出された通帳の入金欄は、十…
半年家を空ける岩手の南部杜氏の父と、そのたびに父の顔を忘れてしまう娘の泣ける話です。蔵へ持って出た柄杓の柄に刻まれた十八の刻みと、いちばん上の一本だけがなぜ深い…
鹿児島の甲突川ぞいで錫器を打っていた父と、二十年会わなかった息子の泣ける話。工房の作業台に残された小さな湯呑みと、桐箱に眠る十九個が語るのは、いちばん深いへこみ…